2025年には日本人のほぼ5人に1人が75歳以上の後期高齢者になると試算されている。加えて少子化・核家族化により、要介護のお年寄りの面倒を身内でみるなど、とっくに限界を超えている。しかし「社会インフラ」とも言うべき介護施設は足りていない。こんなことは改めて言うまでもなく誰もがわかっているし、身に染みて憂えている問題でもある。「何とかして欲しい」と思う一方で、「自分も何かしたい」と忸怩(じくじ)たる思いを抱える人も多いだろう。
それに応えるように、「高齢者向け施設の整備・拡充」や「介護離職ゼロ」を目指す行政の後押しも受けて登場したのが、ヘルスケアリートである。どんなリートなのか、説明は吉岡靖二社長の言に譲ろう。
「私どもは介護・医療業界と資本市場をつなぐパイプ役を任じています。具体的には、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などを投資対象とし、オペレーターつまり施設の運営事業者から支払われる賃料を収益源としています」
「投資家の皆様には、その収益から諸経費を差し引いた利益を分配金として還元させて頂きます。投資商品としての魅力は分配金の安定性の高さと共に、実需に基づく成長分野への投資という点です。政府は高齢者人口に対する高齢者向け施設や住宅の充足率を、2005年の0.9%から、20年までに3~5%へ引き上げ、人数換算すると100万人分増やすことを政策目標としていますので、成長の勢いはまだまだ続くでしょう。また、オペレーターとは固定賃料で長期の賃貸借契約を結びますので、安定したキャッシュフローが見込まれます」
パフォーマンスはもとより、投資がヘルスケア施設の供給・促進に直結することは大きな魅力と言えよう。
吉岡社長はまた「HCMの強みは主要スポンサー3社だ」と強調する。
「1社は介護・医療業界で幅広くビジネスを展開するシップヘルスケア。施設の運営実績も豊富で、ヘルスケアリートの鍵を握るオペレーターを選定する目利き力や、良好な関係を持続するコミュニケーション能力を発揮しています。またNECキャピタルソリューションは、子会社にファンドを通じた投融資やアドバイザリー業務を手掛けるリサ・パートナーズを有し、ファンド事業の運営に関わるノウハウ等を提供する強力なサポーターです。さらに私の“古巣”でもある三井住友銀行は、JREITに対するファイナンスの分野でトップクラスの実績を持ち、幅広い顧客基盤からいろんな情報を提供しています。HCMは彼らスポンサーの強みを積極的に活用し、安定的な資産運用と中長期的な運用資産の拡充を図っているのです」