2017年に韓国在住の世界的なウォッチコレクターによって設立された腕時計ストラップのブランド、ノスタイム。自身が所有する数々のビンテージロレックスをもっと楽しむためのストラップからスタートしただけに、コレクターのニーズを捉えた魅力が詰まっている。
ハイブランドのバッグなどでしばしば目にするシュリンク加工のグレインカーフをメインに、ボックスカーフ、ヌバック、ピッグスキン、日本製の帆布を用いたタイプなどをラインアップ。カラーはスタンダードなブラックやブラウンに加え、レッド、ベージュ、グリーンなどバリエーションは40にも及ぶ。華美な印象を抑えた、上品なトーンもいい。
イタリア、フランス、アメリカなどから素材を厳選し、製造は皮革製品に定評のある韓国内の工房で行われている。細やかで均一なステッチからも、その技術力の高さが見て取れる。アジア人ユーザーにフィットするレングスも、ノスタイムならでは。あえてクロコダイルやリザードなどのエキゾチックレザーを用いない、エシカルな意識にも好感が持てる。
現行のコレクションは大きく二つに分けられる。一つが「スタンダード」と呼ばれるタイプ。ブランドのルーツというべき、ビンテージロレックスに装着することを意識してスタートしたコレクションで、柔らかく適度な薄さによる快適なフィット感を特徴とする。ラグ幅は18、19、20㎜が用意され、工具を用いることなくスムーズに交換できるインターチェンジャブルシステムが採用されている。
もう一つのコレクションは、オークションでの注目度が高まる一方のF.P.ジュルヌのタイムピースに装着することを意識したタイプ。当初は、さるジュルヌオーナーからの要望に応えるカスタムメイドだったが、商品化へと発展した。ラグ幅はジュルヌのモデルにフィットする20㎜で、一般的なストレートなバネ棒ではなく、ケースに沿ってラウンドしたバネ棒を採用し、こちらもインターチェンジャブルシステムを備えている。ジュルヌのモデルのボリューム感とのバランスを考慮し、スタンダードタイプに比べて厚みを持たせている。
いずれのコレクションも、サイズさえ合えば、ロレックスやF.P.ジュルヌ以外のモデルにも装着可能だ。
日本国内でのノスタイムの取り扱いは、オークションなどにも携わるビンテージウォッチのスペシャリストである藤本和彦氏が運営する5Wが行っている。ハイエンドウォッチを知悉(ちしつ)した人物のお墨付きということにも安心感がある。多くの腕時計を所有し、ストラップもいくつかのバリエーションを用意したいコレクターには、比較的リーズナブルな価格設定もうれしいポイントだ。
原則的にオンラインでの販売だが、希望の場合は予約制で東京・青山にある5Wのショールームで商品を手に取って購入することもできる。ノスタイムのストラップが、腕時計との付き合い方をより楽しく充実させてくれるに違いない。
●5W
TEL 03-5843-1807
※『Nile’s NILE』2024年12月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています