ミッションタイマーの原点を敬う

過酷な条件下で任務を遂行する、特殊部隊、レスキュー隊、パイロットなどのために開発された腕時計、ミッションタイマー。正確性、視認性、堅牢性など、計器としてのハイスペックが要求される。1961年にドイツ・フランクフルトで創業し、ミッションタイマーのスぺシャリストとして知られるジンから、特殊部隊用ウォッチ25周年を記念するモデルが登場した。

Text Yasushi Matsuami

過酷な条件下で任務を遂行する、特殊部隊、レスキュー隊、パイロットなどのために開発された腕時計、ミッションタイマー。正確性、視認性、堅牢性など、計器としてのハイスペックが要求される。1961年にドイツ・フランクフルトで創業し、ミッションタイマーのスぺシャリストとして知られるジンから、特殊部隊用ウォッチ25周年を記念するモデルが登場した。

ミッションタイマーシリーズ「EZM」誕生25 周年記念モデル
ミッションタイマーシリーズ「EZM」誕生25 周年記念モデル。秒針をなくし、センターからの秒積算針と飛行機型の60分積算針を備えたキャリバーSZ01を搭載。使用時に手の甲を圧迫しない安全性を考慮した左リュウズ& プッシャー仕様。「EZM1.1S」自動巻き、ケース径43㎜、SSケース×カウレザーストラップ(ブラックシリコンストラップ付属)、20気圧防水、世界限定500本、913,000円。

「出撃用計測機器」を意味するミッションタイマーのシリーズ「アインザッツ・ツァイト・メッサー」、略称「EZM」をジンが開発したのは1997年のことだ。初号機「EZM1」は、国際犯罪などに対応するドイツ税関刑事局特殊部隊ZUZの要請で誕生した。以降、対テロリズム専門部隊、警察特殊部隊、消防隊、レスキュー隊などの要請に応えるモデルが送り出されてきた。

このシリーズの25周年を記念するモデルが「EZM1.1S」だ。オリジナルと同じく、センターからの秒積算針と分積算針を備えたクロノグラフ。視認性を重視してスモールダイヤルを排し、60分までの計時に特化した点もミッションタイマーらしい。耐久性に優れた904Lスチールをケースに採用し、ジン独自の表面硬化技術テギメント加工と PVD加工とをダブルで施すブラック・ハード・コーティングにより、セラミックと同等以上の硬度を実現。独自のパッキン技術と高度な精密加工により完璧な密閉性を保証するD3システムが、水中でのプッシュボタン操作も可能にした。どんな衝撃にも絶対に回転ベゼルが外れない特殊結合方式も導入。マイナス45℃〜プラス80℃の温度環境下で精度保証するジン特殊オイル66‐228を潤滑油に採用。ケース内部に特殊乾燥剤を封入したドライカプセルを搭載し、プロテクトガスを充填、さらにEDR(超拡散削減)パッキンの採用という3要素からなるArドライテクノロジーが、ケース内の水分を究極まで排除する。

  • オリジナルの「EZM1」 オリジナルの「EZM1」
    1997年に、ドイツ税関刑事局の特殊部隊である税関局中央支援グループ(ZUZ)の要請で開発されたオリジナルの「EZM1」。6時位置にZUZのロゴが見える。
  • オリジナルをベースに、民間販売用として登場した「EZM1」 オリジナルをベースに、民間販売用として登場した「EZM1」
    オリジナルをベースに、民間販売用として登場した「EZM1」。6時位置に、当時使用されていた夜光塗料トリチウムを意味する「3H」のマークを配置。2005年までラインアップされていた。
  • オリジナルの「EZM1」
  • オリジナルをベースに、民間販売用として登場した「EZM1」

〝極限的状況でも最高精度の保証〞を掲げるジン。独自技術に裏付けられた実力に唸らされるはずだ。

●ホッタ TEL03-5148-2174

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。