
京都・嵐山の渡月橋の目の前にある、西洋と東洋、伝統と現代を調和させた、全21室のスモールラグジュアリーホテル「MUNI KYOTO by温故知新」は、フランス料理界の重鎮アラン・デュカス氏が監修する二つのレストランを併設する。
そのメインダイニング「MUNIアラン・デュカス」で、去る2月26日、27日に、ミシュラン・パリの二つ星に輝く、「ル・ムーリス・アラン・デュカス」のエグゼクティブシェフ、アモリー・ブウール氏を招聘し、フォーハンズのコラボレーションディナーという、かつてない贅沢なイベントが行われた。
「MUNI KYOTO」のエグゼクティブシェフを務めるアレッサンドロ・ガルディア―ニ氏は、「オテル・ドゥ・パリ」内の「ル・グリル」に入店以来、デュカス氏に師事。ロンドンのホテル「ザ・ドチェスター」内の「ル・グリル」でシェフ・ド・パルティを務め、2016年から、パリ最古のパラスホテル「ル・ムーリス、ドーチェスター・コレクション」内の「ル・ムーリス・アラン・デュカス」に入店。その手腕を買われ、22年に「MUNI KYOTO」へ、という経歴を持つ。一方、アモリー・ブウール氏は、モナコの「ル・ルイ・キャーンズ」を皮切りに、アラン・デュカス氏の薫陶を受け、16年に「ル・ムーリス・アラン・デュカス」に入店し、20年にエグゼクティブシェフに着任。つまり、2016年から同じキッチンで苦楽を共にしてきた仲なのである。
そんな二人が再会し、3年間の空白を埋めるように京都で濃密な時間をともにした。コースの構成は、一皿ずつを交互に担当するスタイル。電話やメールで連絡を取り合い、ざっとメニューを決めたのち、来日後、京都中央市場を二人で見に行き、細かな部分を決定していったそうだ。阿吽の呼吸でそこにはなんの不安もなかったという。
正面にどんと飾られたシャガールの油彩が印象的なメインダイニング。そこには、アラン・デュカスの好みがいかんなく発揮されている。壁の上部にはデュカス氏自身のコレクションであるアンティークのリキュールグラスがずらりと並べられ、テーブルセッティングにもウォーターグラスは、一人ずつ異なるアンティークが配置される。バカラありサンルイあり……、夢のような美しさだ。まさにモダンと伝統の融合と言えよう。
