パリ1区に位置する「Restaurant KEI」のオーナーシェフとして、フランス版ミシュランガイドで2020年にアジア人初の三つ星を獲得。以来、24年まで5年連続で三つ星を守り続けるという偉業を成し遂げた小林圭氏。「三つ星は通過点に過ぎません。料理は一生勉強ですから」と、あくまで謙虚だ。そんな小林氏だが、わずか3年の間に、御殿場、銀座、六本木、そして虎ノ門と、四つのレストランを日本で展開するに至った。それは“KEI”を世界的なブランドにするための戦略の一環だという。
グリル ガストロノミーレストラン「KEI Collection PARIS」は、昨年10月に開業した東京の新たなランドマーク、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内の情報発信拠点「TOKYONODE」の49階に位置する。「成熟した大人の遊び場を作りたかったんです」と小林氏の言う通り、小粋な男女が集うにふさわしい上質で華やかな空間が一番の特徴だ。窓の外にはきらびやかな東京の夜景が一面に広がり、店の中央にあるオープンキッチンのカウンターは、さながら店の舞台と言うにふさわしい躍動感にあふれている。
「KEI Collection PARIS」の料理の特徴を尋ねると、「他店に比べ、より素材そのものにフォーカスしています」との答えが返ってきた。四季折々の日本の素晴らしい素材の持ち味を最大限に引き出すべく、なるべくストレートに手を加えすぎず供するのが信条だという。今の時期であれば、戻りガツオ、アワビ、サザエ、ウニ、スズキなどの魚介のほか、熊本赤牛の熟成延寿牛、リムーザン産仔羊など、小林氏の目と舌で直に確かめた、最上級の旬の素材がそろう。KAVIARI クリスタルの中で小林氏が定めた色・形で選定されたキャビアというちょっと贅沢な素材が用意されているのもうれしい。いずれの料理もそれらに小林氏のエスプリを加えて、シンプルながらコンテンポラリーな一皿に仕上がっている。
また、同店の大きな特徴はアラカルトで料理を頼めること。その日の用途や体調に応じて自由な使い方ができるのも、大人の遊び場たるゆえんだろう。メニューを開くとまず1ページ目は前菜で構成されている。初めて訪れる人の参考になればと説明するが、ポーションはそう大きくないので前菜の中から三~四つを選ぶといい。2ページ目はオマールやキンメダイなどの魚介のほかに、鴨や仔羊の料理、ブランド牛が並ぶ。好みの一品料理でも、また肉を選んでグリルしてもらうのもいい。
エントランス内にはバーがあり、隠れ家のようなラウンジスペースも用意。その日の気分や過ごす相手によって、カウンター席、夜景を見下ろすテーブル席、親密感の湧く個室と、使い分けられる使い勝手の良さも評価が高い。外に広がる屋上には、インフィニティプールが設営されており、8月30日からはプールサイドで「TOKYO NODE SKY GARDENwith KEI Collection PARIS」も始まっている。大人の社交場としての魅力が一層広がりそうだ。
●KEI Collection PARIS
東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー TOKYO NODE 49F
www.kei-collection.com
※『Nile’s NILE』2024年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています