髙木慎一朗氏、光悦の精神を料理に紡ぐ

アマン京都 鷹庵

Text Izumi Shibata

アマン京都 鷹庵

固定概念を超えて

こうした「折衷」をしつつ、説得力のある料理を作ることは簡単ではない。髙木さんにそれが可能なのは、ベースに柔軟な精神と広い視野を持っているからだろう。

「料理は、歴史を考えると、ミクスチャーの連続です」と髙木さん。「今ではイタリア料理の象徴の一つであるトマトも、原産の南米大陸からイタリアに渡ったのは16世紀。しかも最初は観賞用でした。また、日本料理で今当然のように使われているオクラも、日本に広まったのは1960年代から」。たしかに、何が伝統かというのは軽々しく決められるものではないのかもしれない。「日本料理だって、これから何が起こるかわかりませんよ(笑)」

一つ、髙木さんがN.Y.で見て印象に残っている事柄があるという。「トップシェフたちは醤油も使うし、柳刃包丁も扱う。でも彼らは日本料理を作ろうとしていない。とかく技術論にはしりがちですが、そういう、外からの要素を貪欲かつ柔軟に取り入れる発想が、僕らはもっとあってもいいんじゃないかな」

つまりは、今までの日本料理の固定概念を崩すということ。「一歩踏み出して挑戦する。全部が成功するとは限りませんけれども。しかしこの精神は、光悦の時代の鷹峯にあふれていたのではないかな、と思っています」

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●アマン京都  鷹庵
京都府京都市北区大北山鷲峯町1番  アマン京都  鷹庵
TEL075-496-1335(アマン京都  レストラン予約  9:00~18:00)

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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