感性が生む説得力、とは

日本の中国料理の歴史の一角を、まぎれもなく担い続けている四川飯店グループ。そこに30年間勤め、2代目の総帥である陳建一氏を支え続けてきた菰田欣也氏が独立して構えたのが「4000 Chinese Restaurant 南青山」だ。円熟の料理人が発信する新境地に、注目と高評価が集まる。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

日本の中国料理の歴史の一角を、まぎれもなく担い続けている四川飯店グループ。そこに30年間勤め、2代目の総帥である陳建一氏を支え続けてきた菰田欣也氏が独立して構えたのが「4000 Chinese Restaurant 南青山」だ。円熟の料理人が発信する新境地に、注目と高評価が集まる。

料理を正直に作る

  • 4000 Chinese Restaurant 南青山、切れ味のよいチーズのすりおろし器を、料理の仕上げに愛用
    切れ味のよいチーズのすりおろし器を、料理の仕上げに愛用。金華ハム、白黒トリュフなどをすりおろし、香りを立たせる。
  • 4000 Chinese Restaurant 南青山、「加藤ポーク」の豚肉
    群馬県太田市にある「加藤ポーク」の豚肉を愛用。甘みのある脂身が特徴。火鍋の店「ファイヤーホール4000」でも使っている。
  • 4000 Chinese Restaurant 南青山、カウンターは8席
    カウンターは8席。落ち着いた色の木目調のベースに、漆製のランチョンの赤色が映える、シックで洗練された雰囲気。
  • 4000 Chinese Restaurant 南青山、濃い色の木目、「輪島キリモト」に特注した漆の赤いランチョン、有田焼「金照堂」の艶やかな青色の器。このセットでお客を迎える
    濃い色の木目、「輪島キリモト」に特注した漆の赤いランチョン、有田焼「金照堂」の艶やかな青色の器。このセットでお客を迎える。

菰田氏はまた、30年間務めた店で得た学びの中でも、最も大きいのは「料理を正直に作る」ということだという。
「素材に対しても、料理を作ることに対しても正直に。手を抜くといったごまかしをすると、それがクセになります」

正直であるのは、自分自身に対しても同様だ。以前の店では総料理長というポジションにあったが、「やはり自分は料理が作りたい」という思いで退職する道を選んだのも正直な気持ちに従ったから。その後、四川風火鍋専門店「ファイヤーホール4000」をオープンしたのも、「いい素材、しっかりとした味付けの、おいしい火鍋を自分が食べたかったから」。
そして「4000 Chinese Restaurant 南青山」は、器選びや店内装飾から菰田氏自身が納得がいくまで取り組んで作った店。じっくりと料理に向き合いながら、サービスも含めたトータルなもてなしをしたい思いが強まってオープンした。

「多くの人に『この店は集大成だね』と言われますが、まだまだ毎日もがいています(笑)。料理も、経営者としてもそう」と話す。そして、「実は、この先“何歳になっても料理を作り続けたい”とは思っていません。少しでもおいしくない料理を作るようになったら、やめます。私よりおいしいと思える料理を作るスタッフが現れたら、店を譲ってもいい」

あくまでも自分に対して正直で、ごまかしがない。「だからこそ、毎日が勝負。悔いが残らないよう、誰のまねでもない自分のスタイルを突き進みます」

  • 4000 Chinese Restaurant 南青山、「4000」は、読み方によっては「しせん」すなわち「四川」。あえて強く打ち出さず、さりげなく「四川料理店」と伝える
    「4000」は、読み方によっては「しせん」すなわち「四川」。あえて強く打ち出さず、さりげなく「四川料理店」と伝える。
  • 4000 Chinese Restaurant 南青山、数字の4に、3重の輪をかけたマーク
    数字の4に、3重の輪をかけたマーク。店名にある「4000」(よんせん)をデザインした、遊び心にあふれる趣向。
4000 Chinese Restaurant 南青山 菰田欣也氏

菰田欣也 こもだ・きんや
1968年東京都生まれ。調理師学校卒業後「赤坂四川飯店」に入り陳建一氏のもとで修業。32歳でグループ肝煎りの新業態、「szechwan restaurant陳」を任される。四川飯店グループの総料理長を経て独立。火鍋専門店「ファイヤーホール4000」を立ち上げ、2018年に「4000 Chinese Restaurant 南青山」をオープン。

●4000 Chinese Restaurant 南青山
東京都港区南青山7-10-10
パークアクシス南青山7丁目
TEL 03-6427-9594
minamiaoyama4000.jp

※『Nile’s NILE』2021年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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