モウカザメのフカヒレの姿煮
中国料理の「華」であるフカヒレの料理についても、考えは同じだ。今回紹介したのは、冬のごちそうである上海ガニの身とミソを餡(あん)に溶け込ませた、ぜいたくな仕立て。誰もが食べたいと思う王道のおいしさで、秋冬の時季限定で楽しむことができる。
「お客さまは、こうした王道の味を好まれる方と、新しい味を好まれる方と、両方いらっしゃる。それぞれにご満足いただける料理を常に考えています」
たとえば新しい体験が好きなお客には、フカヒレを「ピリ辛すき焼き風仕立て」とすることも。
「ポイントは、しっかりと上質なフカヒレを、ていねいにもどして使うこと。そうするとスープをよく吸ってくれます。つまり基本が大事で、そこを押さえていれば自由に遊べるし、楽しめる」
それは換言すると、基本が伴った上での遊びだからこそ料理に説得力が生まれる、ということになる。