感性が生む説得力、とは

日本の中国料理の歴史の一角を、まぎれもなく担い続けている四川飯店グループ。そこに30年間勤め、2代目の総帥である陳建一氏を支え続けてきた菰田欣也氏が独立して構えたのが「4000 Chinese Restaurant 南青山」だ。円熟の料理人が発信する新境地に、注目と高評価が集まる。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

日本の中国料理の歴史の一角を、まぎれもなく担い続けている四川飯店グループ。そこに30年間勤め、2代目の総帥である陳建一氏を支え続けてきた菰田欣也氏が独立して構えたのが「4000 Chinese Restaurant 南青山」だ。円熟の料理人が発信する新境地に、注目と高評価が集まる。

モウカザメのフカヒレの姿煮

4000 Chinese Restaurant 南青山、気仙沼産のモウカザメのフカヒレの姿煮
気仙沼産のモウカザメのフカヒレの姿煮。上海ガニとそのミソ入りの餡で仕上げた。フカヒレは分厚く、スープをしっかりと吸っている。上海ガニの餡では、身の旨み、ミソ特有の豊かなコクが溶け合う。これらを一緒に楽しむ豪華な一品。

中国料理の「華」であるフカヒレの料理についても、考えは同じだ。今回紹介したのは、冬のごちそうである上海ガニの身とミソを餡(あん)に溶け込ませた、ぜいたくな仕立て。誰もが食べたいと思う王道のおいしさで、秋冬の時季限定で楽しむことができる。

「お客さまは、こうした王道の味を好まれる方と、新しい味を好まれる方と、両方いらっしゃる。それぞれにご満足いただける料理を常に考えています」

たとえば新しい体験が好きなお客には、フカヒレを「ピリ辛すき焼き風仕立て」とすることも。

「ポイントは、しっかりと上質なフカヒレを、ていねいにもどして使うこと。そうするとスープをよく吸ってくれます。つまり基本が大事で、そこを押さえていれば自由に遊べるし、楽しめる」

それは換言すると、基本が伴った上での遊びだからこそ料理に説得力が生まれる、ということになる。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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