「バブル時代のコテコテのイタリアンではなく、食材を生かすアプローチが斬新でした。今でも新しい食材に出合うと『原田さんならどうするだろう』と自然と考えますね」
そのアロマフレスカが移転するにあたり、同店が入っていたビルの所有者と共同経営したのが「リストランティーノ バルカ」。2店目の「アーリア ディ タクボ」でオーナーシェフとなった。そして、40歳で物件探しから手がけたのが現在の「タクボ」だ。店の方向性で迷いが生じていた時に薪焼きに出合い、衝撃を受けての決断だった。
「薪焼きは夏は暑いし、ラクではありません。でも、便利な現代で、のんびり火を熾(おこ)すところから始めるというのもいいじゃないですか」と笑う。
コンセプトは「自然」。信頼できる生産者から仕入れた食材を生かし、自分が心からおいしいと思うものだけをゲストに供する。田窪氏の自然体の料理が、店を出てからも温かな余韻となって、心身を満たしてくれる。
田窪大祐
1976年愛媛県生まれ。辻調理師専門学校を卒業後、「アル・ソリト・ポスト」や「アロマフレスカ」などで修業を積む。2006年に広尾に「リストランティーノ バルカ」を、2010年に恵比寿に移転しオーナーシェフとして「アーリア ディタクボ」をオープン。2016年に代官山で「タクボ」を開業。
●タクボ
東京都渋谷区恵比寿西2-13-16
ラングス代官山1F
TEL 03-6455-3822
tacubo.com
※『Nile’s NILE』2019年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています