自然と人をつなげる薪焼きの肉

旨い肉を食べたい時に訪れたいのが「タクボ」だ。食材と人を大切に、誠実かつシンプルに料理に向き合ってきたシェフの田窪大祐氏がたどり着いた、高温でカリカリ、ジューシーに焼き上げた薪(まき)焼きの肉は、リピーターが後を絶たない逸品だ。

Photo Masahiro Goda  Text Rie Nakajima

旨い肉を食べたい時に訪れたいのが「タクボ」だ。食材と人を大切に、誠実かつシンプルに料理に向き合ってきたシェフの田窪大祐氏がたどり着いた、高温でカリカリ、ジューシーに焼き上げた薪(まき)焼きの肉は、リピーターが後を絶たない逸品だ。

タクボ、コースの一品、釜あげしらすとパクチー、からすみのパスタ
コースの一品、釜あげしらすとパクチー、からすみのパスタ。パクチーの新芽のさわやかな苦みが肉厚な釜あげしらすの甘みを引き出し、からすみの塩気と調和した絶妙な味わい。

「バブル時代のコテコテのイタリアンではなく、食材を生かすアプローチが斬新でした。今でも新しい食材に出合うと『原田さんならどうするだろう』と自然と考えますね」

そのアロマフレスカが移転するにあたり、同店が入っていたビルの所有者と共同経営したのが「リストランティーノ バルカ」。2店目の「アーリア ディ タクボ」でオーナーシェフとなった。そして、40歳で物件探しから手がけたのが現在の「タクボ」だ。店の方向性で迷いが生じていた時に薪焼きに出合い、衝撃を受けての決断だった。

「薪焼きは夏は暑いし、ラクではありません。でも、便利な現代で、のんびり火を熾(おこ)すところから始めるというのもいいじゃないですか」と笑う。

コンセプトは「自然」。信頼できる生産者から仕入れた食材を生かし、自分が心からおいしいと思うものだけをゲストに供する。田窪氏の自然体の料理が、店を出てからも温かな余韻となって、心身を満たしてくれる。

タクボ 田窪大祐氏

田窪大祐
1976年愛媛県生まれ。辻調理師専門学校を卒業後、「アル・ソリト・ポスト」や「アロマフレスカ」などで修業を積む。2006年に広尾に「リストランティーノ バルカ」を、2010年に恵比寿に移転しオーナーシェフとして「アーリア ディタクボ」をオープン。2016年に代官山で「タクボ」を開業。

●タクボ
東京都渋谷区恵比寿西2-13-16
ラングス代官山1F
TEL 03-6455-3822
tacubo.com

※『Nile’s NILE』2019年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。