グランメゾンの伝統

2019年35周年を迎える、ホテルニューオータニにある「トゥールダルジャン 東京」。437年の歴史を持つ王侯貴族の美食の館、パリ本店の伝統を継承する世界唯一の支店の味を支えるのは、日本の人間国宝に近い存在といわれるM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)をこの春、授与されるシェフ、ルノー・オージエ氏だ。

Photo Masahiro Goda  Text Rie Nakajima

2019年35周年を迎える、ホテルニューオータニにある「トゥールダルジャン 東京」。437年の歴史を持つ王侯貴族の美食の館、パリ本店の伝統を継承する世界唯一の支店の味を支えるのは、日本の人間国宝に近い存在といわれるM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)をこの春、授与されるシェフ、ルノー・オージエ氏だ。

トゥールダルジャン 東京。ヨーロッパの高級魚、サンドルのソテー
ヨーロッパの高級魚、サンドルのソテー。白ワインソースに、柑橘のせとかを加えて軽やかに仕上げた。付け合わせは芽キャベツと香味野菜にパンチェッタを加えて。

トゥールダルジャンではフランス食文化の神髄といえる料理を継承しているが、スペシャリテの「幼鴨のロースト マルコポーロ」の付け合わせをスタイリッシュに変えるなど、オージエ氏ならではのエッセンスを加える。

「以前は魚や野菜のほとんどをフランスから輸入していましたが、今は日本でも野菜のいいものが手に入るし、フランスでしか獲(と)れない魚を除いて、できるだけ日本の鮮度のいい魚を使おうと考えています。こうした食材を日本各地に探しに出かけます」と勉強熱心だ。

「世界一といわれるワインセラーを持つレストランの唯一の支店のシェフとして、最も大事にしているのは、ワインに合う料理を作ること。そして料理とワインのハーモニーが、クライマックスに向けて高く、深く広がっていくことです」

トゥールダルジャン 東京 ルノー・オージエ氏

ルノー・オージエ
1981年フランス・グルノーブル地方生まれ。16歳で料理の修業をスタートし、三つ星レストランなど数々の名店で経験を積む。2013年にトゥールダルジャン 東京のエグゼクティブシェフに就任。

●トゥールダルジャン 東京
東京都千代田区紀尾井町4-1
ホテルニューオータニ ザ・メイン ロビィ階
TEL 03-3239-3111
www.tourdargent.jp

※『Nile’s NILE』2019年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。