能登の素晴らしさを料理に

池端隼也氏が石川県輪島に“故郷回帰”して約10年。2014年にオープンしたラトリエ・ドゥ・ノトは、地元に愛され、また外に向って“能登フレンチ”を発信する店として、着実に歩んできた。最大の魅力は「能登の豊かな自然の恵みを丸ごと味わえる」ことである。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

池端隼也氏が石川県輪島に“故郷回帰”して約10年。2014年にオープンしたラトリエ・ドゥ・ノトは、地元に愛され、また外に向って“能登フレンチ”を発信する店として、着実に歩んできた。最大の魅力は「能登の豊かな自然の恵みを丸ごと味わえる」ことである。

ラトリエ・ドゥ・ノト
大根、紅芯大根、みどり大根、青大根、黒大根、日野菜蕪……根菜たちに加えて、山の春菊やビーツ、人参などのカラフルなソースがぶりに彩りを添える。

「輪島に帰って来てから僕が料理人だということで、塗師屋からケータリングを頼まれたり、行政から食のイベントを依頼されたりする機会があり、地元の食材や文化を少しずつ学び始めました。すると、『わー、輪島すげぇ』って」

「23歳の時、フランスの三つ星レストランで受けた感動と同じ衝撃が走りました。思えば野球ばかりしていた僕には、故郷の輪島は、『なんにもない田舎』でした。でも、料理人になってフランスでの生活を経た自分にとっては『素晴らしい宝が詰まった楽園』に見えたんです」

「すぐに大阪での出店をキャンセルし、『輪島でレストランを運営するにはどうすればいいかな』と考え始めました。そして2014年にラトリエ・ドゥ・ノトをオープンしたのです」

そんな池端氏の故郷愛が生み出す料理は、能登の海、里、山、磯からの食材が多彩に組み合わされた“能登フレンチ”、今後がますます楽しみである。

ラトリエ・ドゥ・ノト 池端隼也氏

池端隼也 いけはた・としや
1979年石川県生まれ。辻調理師専門学校を卒業後、大阪の名店「カランドリエ」にて修業を積む。2006年渡仏。星付きレストランで4年半、活躍。2009年に帰国。大阪の古巣等を経て輪島にUターンし2014年に「ラトリエ・ドゥ・ノト」をオープンした。

●ラトリエ・ドゥ・ノト
石川県輪島市河井町4-142
TEL 0768-23-4488
atelier-noto.com

※『Nile’s NILE』2020年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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