タケノコの料理
今回紹介してくれたのは春の新作2品。一皿目のタケノコの料理は「タケノコのおいしさをフランス料理で表現する」がテーマだ。
まずポイントとなるのがタケノコそのものの質。今年出会った静岡の農家が、特別な手法でタケノコを包んで送ってくれることで、この料理は実現したという。
「農家さんが、根付きでタケノコを掘ってくれるんです。非常に面倒なのでやってくれる方はまれなのですが。そして保冷剤とともにラップで包んで送ってくれる。こうしたら、鮮度は掘り立てと変わりません。えぐみがまったくないのです」
その鮮度があるからこそ、この料理ではタケノコを、軽いスープ・ド・ポワソンでそのまま煮ることが可能になった。
「えぐみを抜くための下ゆでが不要。通常では下ゆでで抜けてしまう風味がしっかりと残ります」
また、タケノコの大きさもこの料理のポイントだ。
「タケノコのおいしさは、前歯でガブッとかむところにあると思います。かんで、口の中に香りが広がる感じが重要なのです。でも、フランス料理ではタケノコを、どうしても小さく切ってしまいがち。そこをあえて、大きな塊で残すことにしました」