記憶に残る昭和の味、平成の味

料理人たちにとって記憶に残る「昭和の味、平成の味」とは? 今回は、三科惇さん、厲愛茵さん、山田チカラさん、フィリップ・ミルさん、杉本壽さんに伺った。

Photo Haruko Amagata. Masahiro Goda  Text Rie Nakajima. Izumi Shibata. Junko Chiba

料理人たちにとって記憶に残る「昭和の味、平成の味」とは? 今回は、三科惇さん、厲愛茵さん、山田チカラさん、フィリップ・ミルさん、杉本壽さんに伺った。

料理人たちの記憶に残る昭和の味、平成の味
左から。蓮 三科惇さん/山田チカラ 山田チカラさん/厲家菜 厲愛茵さん/東京ステーションホテル オーク 杉本壽さん/フィリップ・ミル 東京 フィリップ・ミルさん。

三科惇 蓮

蓮 三科惇さん

昭和の時代、実家の母の料理で茄子のはさみ揚げが好きでした。今でも賀茂なすを揚げてお出ししたりと、茄子は好きですね。それと、家の近くにあった名古屋出身の方のお蕎麦屋さんで、きしめんの味噌煮込みをしょっちゅう食べていました。味をはっきり覚えているので、今すぐ再現して作れるくらい。現代はスマホのカメラで写真を撮って残す時代ですが、本当においしいものは記憶に残る。自分もそういう料理を作りたいなと思います。
学生時代はテニス部だったので、部活帰りに横浜の家系ラーメンを食べるのも定番でした。今では食べることはほとんどないですが、豚骨のこってりとしたスープは懐かしい味です。崎陽軒のシウマイも、帰省したら必ずといっていいほど食べる故郷の味。横浜の人にとってはソウルフードといえるかもしれませんね!
平成に料理人を目指し、「石かわ」に入った時に一番おいしいと思ったのが、スッポンのお椀です。お椀だけでなく、揚げても焼いてもおいしくて、スッポンという食材の可能性に心底驚きました。おやっさんが作る鯖の棒ずしもおいしかったな。
最近では、神楽坂の「紀茂登(きもと)」さんで食べたタケノコが印象的でした。根っこのほうだけ、短時間蒸しているのですが、サクサクとした食感と自然な甘みが生きた、新鮮なタケノコならではの味わいでした。

●蓮 三科惇

三科惇さんの想う「令和の味」
日本固有の食材の多様性を追求

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。