岸田周三
カンテサンス
子供だった昭和の時代で、記憶に残っている味といえば、母の家庭料理ですね。料理がうまい人なので、ハンバーグやカレーはもちろん、何を食べてもおいしかった。中でも、僕は豆アジの南蛮漬けが大好きで、これが食卓に上がるとものすごくうれしかったことを覚えています。
中学時代には、本で読んで知った志摩観光ホテルのレストラン「ラ・メール」を率いていた高橋忠之総料理長が作る料理を食べてみたくて、親に連れて行ってもらいました。この本は、当時の第11代帝国ホテル総料理長の村上信夫さんと高橋総料理長の対談で、「料理長とは何ぞや」というテーマ。特に印象に残ったのが、29歳の若さで料理長に就任した高橋さんが、地元の食材を追求した料理で「ラ・メール」を世界的に注目されるレストランに成長させたことで、すごいなあと。高橋さんのスペシャリテともいえる、鮑のステーキを実際に食べてみて、こんな料理があるんだと衝撃を受け、そのおいしさにめちゃくちゃ感動しました!
平成に入って修業時代は、パリでも東京でもとにかくフランス料理を食べまくりました。シェフになってからは、いつ食べても驚きや発見がある日本料理とか鮨ばかりを食べていますね。
●岸田周三
カンテサンス
岸田周三さんの想う「令和の味」
海とたわむれる