里山の自然環境を再現する“活地気農法”

「活地気農法」では、生の有機物を土の表面に置いて自然に腐植させる。ふかふかな土で育てた作物は、色やツヤがよく、柔らかく濃厚な味わいになるという。

Photo TONY TANIUCHI  Text Rie Nakajima

「活地気農法」では、生の有機物を土の表面に置いて自然に腐植させる。ふかふかな土で育てた作物は、色やツヤがよく、柔らかく濃厚な味わいになるという。

わたや
活地気農法でリンゴを栽培する小林久幸さん(右)の圃場で、話に聞き入る神田さん(中)。結実してから100日後にようやく収穫できるリンゴは手がかかる果物だ。「活地気農法は、連作障害がないのもメリットだ」と話す、わたや6代目の坂尾文正さん(左)。

八頭町(やずちょう)で里山の自然環境を、畑や水田といった耕作地で再現するという取り組みをしている人たちがいる。1829(文政11)年に創業した、わたやだ。

わたやの6代目の坂尾文正さんが生産者と実践しているのが「活地気(かっちき)農法」。生の有機物をそのまま土の表面に置き、自然に腐植させる。有機物を土の表面から吸収することで、土中で旨み成分となるグルタミン酸やイノシン酸などを自然に生成するというもの。こうした里山(自然)の環境を再現した田畑で育てた作物は、色やツヤがよく、そして柔らかく濃厚な味わいになる。

「いろいろな作物を活地気農法で栽培してみた結果、最適だと考えているのが根菜と米です。特にコシヒカリを“活地気米”と名づけて出荷したところ、おいしさや旨みの尺度である食味値が92を示して驚かれました。出荷基準値は86以上で、食味計メーカーが想定していた最高値は90だったからです」(坂尾さん)

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ラグジュアリーとは何か?

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