バニラのような西洋素材を用いたかき氷は、前職の時から取り組んでいたという。「ターメリックやカルダモン、クローブといったスパイスのほか、コアントロー、ブランデーなどの洋酒も使いましたね」。和菓子に真剣に向き合うほど、こうした素材に意欲的になったという。
「私はかき氷を作る時も、和菓子文化から外れないよう心がけています。と同時に、そもそも和菓子の起源は中国からの外来。海外の要素を抱き込んでこそ、和菓子は進化すると思っているのです」
その一方で、かき氷店としてはめずらしく、小豆あんは店で炊く。
「粒が大きく味がよい、十勝産の雅を使っています。大粒の方が、風味が豊かですが、炊くのが難しい。その点、私は和菓子職人として培った技術がある。かき氷に使う小豆あんとしてほかにない、最高品質のものを作っていると自負しています」
江良さんには、目指すかき氷の世界がある。
「スイーツの一ジャンルとして定着してほしいのです。ちょうど、パフェがそうであるように」
今、かき氷がブームといっても、まだまだ業界の規模は小さい。「だから裾野を広げたい。日本のお客様にはもちろん、いずれ復活するインバウンドのお客様にも楽しんでいただきたいと思っています」
●茶寮 億万
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『茶寮 億万 はなれ』のオープン準備に伴い、2023年4月9日の営業をもって一時休業。
営業再開のタイミングは、決まり次第SNSでアナウンスの予定。