発芽率が悪く実も曲がりやすいため、あさかぜきゅうりの栽培は難しいが、一般的な緑色のきゅうりに手間がかからないわけではない。品種改良をした種を使用せず、古来のやり方で栽培技術を工夫する田鶴さんは、かぼちゃの根に一般的なきゅうりを接ぎ木している。そうすることで病気になりにくく、色味が落ちないきゅうりができるのだそうだ。
些細(ささい)な環境の変化によって如実に影響を受けるきゅうりを育てるのに重要なのは、長年の経験で培ったバランス感覚。肥料は一気に大量にではなく、薄く少しずつやり続ける。有機質肥料、化学肥料、それに温度と日光。その兼ね合いを見極め、バランスが取れるとおいしいきゅうりができる。
ほかにも、土に含まれる成分の割合を測る“土壌分析”をしたり、微生物のエサとなる有機物を投入したりと、さまざまな方向から土づくりに気を使う田鶴さんからは、代々受け継いできた土地を耕し、その営みを大切にする意識がうかがえる。