今から18年前、2004年に神田裕行さんがオープンした「日本料理かんだ」。当初はカウンター9席と個室1室の小さな規模で、元麻布の閑静な住宅街にひっそりと暖簾を掲げる、さりげないたたずまいであった。
ただしその中で繰り広げられていたのは、実にダイナミックな料理世界。神田さんの確かな技術とセンス、日本料理や日本文化への深い理解に基づいた品々は、国内外の食の経験豊かな人たちを大いに引き付けた。
また、2007年にミシュランが日本に上陸して以来、15年にわたり三つ星を維持する唯一の日本料理店としても名をはせてきた。
そんな「かんだ」が、移転する。設計を担当するのは、かの杉本博司さん。
このうわさが食に興味を持つ人たちの間を駆け抜けた時、大きな期待が巻き起こった。