また彼らのストレートな感情表現にも惹かれ、「こうした人たちと生活したい」と思ってアメリカ行きを決意。そして「アメリカならN.Y.だろう!」と、22歳の時に単身でかの地に渡った。
米澤氏はそこで、N.Y.を代表する三つ星レストランの一つ「ジャン・ジョルジュ」にて、同店日本人初のスーシェフに抜擢されるという快挙を成す。「シェフのジャン・ジョルジュさんは僕の人生に大きな影響を与えた師。料理でもビジネスでも影響を受けています」。料理では、スペシャリテの一つである、ホタテのソテーにケイパーとレーズンのソースを合わせた品が印象に残っているという。特にその自由なソースに惹かれたそうだ。
またスーシェフゆえ、数字の管理も仕事の一つ。「定期会議では損益計算書を読んで分析を報告しなくてはいけない。それも、英語で。もう、死ぬ気で勉強しましたよ(笑)」。この経験を通して、”料理人は料理もビジネスも学ぶ”というアメリカの料理界のスタンダードを身につけた。
その後帰国した米澤氏は、数店でシェフを経験したのち、「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」のシェフに就任。N.Y.のファインダイニングを時差なく伝える店で指揮を執った。そして、オープンしたのが「The Burn」。自身の好みを最大に反映した店で活躍、快進撃を続ける。
活気の奥の危機感と責任感 後編 へ続く
米澤 文雄 よねざわ・ふみお
1980年、東京都生まれ。「イル・ボッカローネ」(東京・恵比寿)でキャリアをスタートし、22歳でニューヨークに渡る。ミシュランガイド三ツ星「ジャン・ジョルジュ」で日本人初のスーシェフを経験後、帰国。2014年より「ジャン・ジョルジュトウキョウ」のシェフを務める。2018年に自らプロデュースした「ザ バーン」エグゼクティブシェフに就任。
●The Burn
東京都港区北青山1-2-3
青山ビルヂングB1F
TEL 03-6812-9390
salt-group.jp/shop/theburn