今回のアワード計14店舗がリストから刷新
前出の中村孝則氏に、今回のアワードで印象に残ったことを聞いた。
「何より、驚いたのが、新規のランクインが12店舗、カムバックが2店舗、計14店舗がリストから刷新されたということでしょう。もともとワールドベスト50は、投票に公正を期すために、1/3ずつ評議員が入れ替わるので、レストランの出入りが多く、それがこのランキングの魅力でもあるのですが、それにしても今回は例外的です。原因を分析すると、やはり、コロナ禍に行きつくのですが、アジアや南米のように、行動制限の厳しかった国と、比較的ゆるやかだった欧米で、大きな差が出たのではないでしょうか。通常、ボーターは一人10票を持ち、自国に6票、他国に4票の投票を行うのですが、海外に行けなかった人々には、全票を自国に投票してよいという変則ルールが設けられたのです。だから多くの人が、これまでは投票できなかった、隠れた自国の名店に投票したと推測され、世界的にはそこまでの知名度のなかった店がランキング入りするという、現象がおこったと思われます」と説明する。
国や地域単位でみたときに、その結果、大きな変化がおこったのが、イタリアと南米だ。
先述のように、イタリアは最多の6店舗入賞国となったばかりでなく、リビエラの「リド84」15位⇒8位、ルバーノの「カランドレ」が27位⇒10位に、カステル・ディ・サングロの「レアレ」が29位⇒15位と、軒並み順位を上げているのだ。
新店としての入店は12位「ウリアッシ」と29位「サント ウベルトゥス」の2店舗。
なかでもウリアッシはアドリア海沿岸の伝統にインスピレーシを得たイノベーティヴな料理を出す店で、ハイエストニューエントリー賞を受賞している。これだけの躍進は、自国または近隣諸国の評議員から、大幅な票が入ったと推測される。