「傳」「フロリレージュ」など4店入賞! 大躍進の日本勢
日本勢も4店の入賞と、今回は、大躍進をみせた。なにしろ、1国で4店舗と言うのは、スペイン、イタリアの各6店舗次ぐ、多勢入賞国だ。美食大国としての日本の実力を知らしめたといえるであろう。
その筆頭が、20位の「傳」である。またこれは同時に「The Best Restaurant in Asia」の初の獲得につながった。これまで、タイ、シンガポール、香港に阻まれてなかなか手にすることができなかった栄冠である。
順位としては前回の11位からやや下げてはいるが、これはインバウンドの激減のなか仕方のないことであろう。
逆に次点の「フロリレージュ」は、39位から30位へのジャンプアップで、これは国内の評議員票が多く集まった所以で、健闘を称えたい。
そして、日本にとっての吉報は大阪「ラシーム」の初ランクインだ。しかも堂々の41位で。シェフの高田裕介氏は、昨年のアジアベスト50でシェフズチョイス(シェフが選ぶシェフ)賞を受賞しており、大阪というハンデを跳ね返すほど、業界関係者の熱い表を集めたのだろう。
「NARISAWA」は、45位と昨年の19位からはランクをおとしているが、もともと海外票が強いゆえ、インバウンドが響いたことはいたしかたない。それよりも、2009年に初ランクインしてから、1年も欠かさずにランクインしていることに、賞賛を送りたい。
それぞれのシェフの喜びの声をご紹介しよう。傳の長谷川氏は「何より、久しぶりに世界のシェフたちに会えて話せたことが一番嬉しかったですね。順位は気にしていません。それより、インバウンドが戻ってきてくれたときに、精いっぱいのおもてなしができるように、日々、ブラッシュアップするだけだと思っています」と。
一方、フロリレージュの川手氏は、「コロナ禍で順位を上げることができたことには、評議員の皆さんにも感謝するばかりですが、これは、本当の順位ではないと思ってます。今年後半からはシンガポールやブラジルなど、海外でのコラボレーションも増えてきます。来年こそが本当の勝負です」と力強い。
ラシーム高田裕介シェフは、「正直、ランクインには驚きましたが、実際に会場に身を置き、世界のシェフたちと相対することで、思った以上に刺激を受け、今後できる限りのことをやりたい、進化していきたいと強く思いました」と、それぞれの熱い思いを伝えてくれた。
いずれにしても、今回のワールドベスト50で、日本人シェフ4人がその手で、新しい地平をこじ開けたことは間違いない。本当の意味でコロナ禍が明けたあとの日本勢の活躍がますます楽しみだ。