去る6月19日、ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008のリリースを祝して、レバレッジコンサルティング代表取締役社長であり、世界的フーディーでもある本田直之氏の声掛けで、トップシェフが終結するイベント「DOM PÉRIGNON RE:UNION CHEF’S TABLE」が開催された。
DOM PÉRIGNON RE:UNIONとは、ドン ペリニヨンとの関係を深めながら、シェフたちの交流を育むことを目的としたトップシェフで構成されたコミュニティーのことだ。2~3人ずつのシェフがタッグを組み、与えられたテーマ食材を、即興でドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008にマリアージュする一皿に仕上げるというものである。
シェフたちが当日までに知らされていることは、テーマ食材、誰と組むか、そして、ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008の特性だけという、スリリングな展開だ。
会場となったのは、虎ノ門ヒルズの「Social Kitchen TORANOMON 」。当日はまず、ドン ペリニヨン ロゼ 2008のエスプリを知るためのレクチャーを受け、その後、ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008や新鮮な素材が美しくディスプレイされたキッチンに場所を移し、セッションのルールを聞く。まずは、チームごとに作戦会議を30分、その後、持ち時間1時間で、テーマ食材の料理を仕上げなければならない。完成後は、シェフ全員とメディアが席に着き、お待ちかねの試食タイムだ。
今回のイベントのホストを務めた本田氏から、シェフから、メディアから、それぞれの皿に対しての感想を述べ合う。会場では終始DJが乗りのよい曲を流し、参加者全員、ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008を心ゆくまで楽しめるという、なんともゴージャスな企画なのである。
午前・午後と二つのセッションに分かれ、参加したシェフは総勢14人。セッション1のオリーブチームは、「TACUBO」田窪大祐氏と「unis」薬師神 陸氏。帆立チームは「abysse」目黒浩太郎氏と「レミニセンス」葛原将季氏。鴨チームは「肉割烹 上」大久保丈太郎氏と「Mr.CHEESECAKE」田村浩二氏。
セッション2のフェンネルチームは米澤文雄氏と「宮坂」宮坂展央氏。帆立チームは「鳥しき」池川義輝氏、「くすのき」楠 忠師氏、「ラ・ブリアンツァ」奥野義幸氏。ラムチームは「エラン」信太竜馬氏、「オーベルジュ オーフ」糸井章太氏、「醍醐」野村祐介氏と、今、注目の若手シェフたちばかりだ。彼らがお互いに触発されながらどんな料理を創り出すのか、なんとも興味深い。
ルール説明の直後、うやうやしく銀盆にのせてテーマ食材が運ばれ、会場を一周し、競技は開始だ。それぞれの素材を見ると、前菜、魚、肉と、コース仕立てになるように配されているのがわかる。組み合わせる野菜などは、ディスプレイテーブルから自由に選べる。
グループを組んだシェフたちは、専門ジャンルもばらばら、顔を合わせるのは当日が初めてという人たちも少なくなかった。しかし、そこはプロ。真剣な協議の末、料理の方向性とゴールが決まれば、わき目も降らずに作業に没頭していく。
改めて、ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008の魅惑的な特徴を記そう。セラーで12年間熟成されることで、光と闇という相反する個性を秘め、野性的でありながら、官能的な側面を持つ1本。それは、2008年が曇天の多い日照不足の日々が続いたにもかかわらず、9月の晴天が奇跡的にもヴィンテージを救ったという、異例の年であったことにも起因する。
それゆえ、類まれなる個性――フルボディな味わいとシルクのような舌ざわり――を持つに至った。ヴィンテージを特徴づけるしっかりした酸がピノ・ノワールの骨格を包み込み、華やかに全体を彩っている。シェフたちは、作業中も何度も試飲しながら、マリアージュの精度を上げていった。
壁に映し出されたデジタルクロックが残り0.0秒となると同時にタイムアップ。出来上がった料理はロングテーブルへと運ばれる。
セッション1のオリーブチームの料理は「オリーブとウニの冷製カッペリーニ」。事前に打ち合わせをしてきたというチームだけあって、目指す方向性が瞬時に決まった。しかしそれがパスタゆえ、直前に仕上げるしかない。余裕で持ち時間を他チームの応援にも費やしていた。しかし、食してみれば、オリーブの滋味×ウニのまろやかさとドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008との相性は鉄板だった。
それに反して、帆立チームは、帆立という許容範囲が広い食材に対して何を組み合わせるかという問題に時間の多くを割いていたように見える。ディスプレイテーブルからたくさんの食材を持ってきて食べ比べ、ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008を飲み、相性を試していた。
最終的に仕上がった料理名は「帆立 白いんげん 梅 桃」。ソース類など、1時間では作りきれないものは、持ち込みも可能となっていたので、前日に煮込んだコクのある白いんげん豆の煮こみをソースに、ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008との接点を持たせる、梅と桃を添えている。
一方、鴨チームは、丸ごと1羽の鴨をさばくところから始めなければならず、また、焼くにも時間がかかるというハンディを負う。ゆっくり相談している暇はない。とにかく手を動かさねば。
その中で、事前に仕込んできたマーガオ(台湾の山胡椒)ソース(大久保氏制作)、香り高いバラとリュバーブのコンフィチュール(田村氏制作)、醤油を合わせた岩茶大紅袍のソース(田村氏制作)をソースやコンディマンとして添え、コンベクションオーブンで加熱したのち、藁の香りをつけて仕上げた鴨胸肉を引き立てた。
2人がそれぞれ鴨に合うと思って仕込み、持ち寄ったソース類が見事にドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008を引き立てていることが驚きだ。料理名は「鴨のロースト 藁の香り マーガオ バラとリュバーブのコンフィチュール 岩茶大紅袍のソース」。
セッション2のフェンネルチームの作品は「フェンネルと鰯 夏野菜の出汁浸し」。ビーガンにも造詣の深い米澤氏と、「宮坂」のだしの神髄が融合した、爽やかにして奥行の深い一皿となった。夏らしい清々しさに深みを与えているのが旬の鰯だ。清涼感と滋味が、コースのスターターとして、ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008への期待感をおおいに盛り上げてくれた。
タコチームは、イタリアン、焼き鳥、てんぷらという、最も異色なジャンルの組み合わせのチームだ。
3人と手があるため、2皿構成のゴールを目指した。イタリアでもタコはよく食べられる食材。「タコのミンチのニョッキ ドン ペリニヨンのフランベ」の、タコをミンチにして、ニョッキの上にのせて仕上げるというアレンジは、伝統とモダンの融合もほどよく、まちがいのない美味。ドン ペリニヨンでフランベするという贅沢は、DOM PÉRIGNON RE:UNIONならではだ。
もう一皿は、ひたすら野菜を刻む池川氏、そしてタコをフリットにする楠氏の姿が印象的だった「タコの三草焼き」。野菜の甘みがタコを支え、見事にドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008に寄り添っていた。
ラムチームは半身をさばくところから始まるという大仕事。粛々と手を動かしながらも、この状況が楽しくてたまらないといった様子が、見ているこちらまで幸せにしてくれる。料理名「ドンタコス ペルシーソース あの時の甘いひとときを」からも、大いなる遊び心が伝わってくる。
ラムラックはローストし、ジュをソースとして添えている。モモ肉はほぐしてスパイシーなソースを塗ったタコス生地で巻いている。この短時間でこの完成度と、改めてシェフの力量に驚かされる。
以上が、6チームすべての料理だが、どのチームも、個性がぶつかり合うことで、クリエイティビティの高い、印象的な料理の完成が可能になったのであろう。
本田直之氏は言う。「シェフ同士の横のつながりを強めることで、日本のガストロノミーを盛り上げようという目的で、数年前からシェフズギャザリングを行ってきました。今回はその集大成というような形でしたが、どの料理も素晴らしかった。もちろんドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2008とのペアリングも説得力がありました。それぞれに収穫のある1日になったのではないかと思います。初対面、異ジャンル、短時間、というようなさまざまな制限の中で、クオリティが高く、斬新さもあり、インパクトのある一皿を仕上げるという作業は、必ず、なんらかのよい化学反応を引き起こすはずです。こうした、日本のガストロノミー界に貢献できる催しをまた行っていきたいですね」。
すべての参加者が口福に包まれて会場をあとにした。