隠れ家的な雰囲気にあふれるホテル、シェラトン都ホテル東京の魅力の一つは、そのダイニングにある。料理のレベルの高さはもちろん、サービスと空間づくりへの配慮も細部まで行き渡る。大人が落ち着いて、そして日常を離れた食事の時間を過ごすことができる貴重な場だ。
特に昨年オープンした「鉄板焼 しろかね」、「鮨 白金 さえ㐂(き) 」、「シェフズルーム PLATINUM」からなるエリアは、早くもこのホテルを象徴する存在となっている。「鮨 白金 さえ㐂」は、高い評価を獲得している銀座の人気店「鮨 さえ㐂」が、ホテルで初めてプロデュースを手がける店。「シェフズルームPLATINUM」は、調理カウンターのある個室で、シェフが目の前で料理を仕上げる臨場感を楽しむことができる空間だ。そして「鉄板焼 しろかね」は、極上の肉や魚介、野菜を食すことができる、このホテルならではの鉄板焼店。日本庭園を望む店の造りも、開放的な空気感を演出する。
シェラトン都ホテル東京 総料理長の神長明弘氏は「オープンに当たり、改めて素材集めから始めました」と話す。「生産者に直接連絡を取り、会話を重ね、試食をし、〝これぞ〞という方々の素材を使わせていただいています」
たとえばディナーで提供するこの店の目玉、「きたうち山口牧場黒毛和牛」は、口の中ですっと溶ける脂の旨みとふくよかな香り、赤身の風味の濃さが印象的な牛肉。「この肉の味は、通常より長い日数をかけて牛を育てているからこそ生まれるものです」という。一方、ランチで提供するのは、赤身の力強い味わいにフォーカスした「美笑牛(びしょうぎゅう)」だ。重厚な「きたうち山口牧場黒毛和牛」と深みがありながらキレの良い「美笑牛」。それぞれの魅力を体験するために、ランチとディナーの両方に訪れるのも楽しいだろう。
「鉄板焼 しろかね」ではまた、野菜の味の濃さ、ジューシーさにも目を見張らされる。「冬の根菜は、特に山形庄内野菜がすばらしい」と神長氏。季節ごとにさまざまな産地から、最良の野菜を仕入れている。
同店のディナーコースでは温前菜として「埼玉県産合鴨のロースト」を提供している。鉄板焼店で鴨を焼く
のはめずらしい。
神長氏によると、「店のコンセプトを固める段階から、メインの肉のほか、当店のシグニチャーとなる何かを設けようと考えていました。それが、この合鴨です」という。旨みが力強く、それでいてクセのない合鴨。牛肉はもちろん、この合鴨も、赤ワインと合わせるとそれぞれを一層引き立てる。
鉄板焼の魅力は、何と言ってもその臨場感にある。そして、「焼く」というシンプルな調理工程ゆえ、素材の質と技術の完成度が料理の味に直結する。「鉄板焼 しろかね」は、そのいずれをも深く楽しむことができる店。静かな雰囲気に身をおきながら、心に染みる美食を体験―そんな充実の時間を約束してくれる。
●シェラトン都ホテル東京 TEL0120-901-241
※『Nile’s NILE』2021年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています