頂点に立ち続けた150年

世界的建築家が手掛けるヘネシー X.O限定ボトル

Text Rie Nakajima

世界的建築家が手掛けるヘネシー X.O限定ボトル

1765年、ルイ15世の軍隊に所属していたアイルランド人将校、リチャード・ヘネシーによって設立されて以来、世界で最も愛されるコニャックとして知られてきたヘネシー。英国やロシア王室からも定期的に注文を受けるなど、長きにわたり世界最高峰のコニャックとしての歴史を歩んできた稀有な存在である。

そのなかでも、創業者リチャード・ヘネシーのひ孫に当たり、最初にコニャックの格付けをした人物であるモーリス・ヘネシーが1870年に誕生させた、世界で初めてX.O(eXtra Old)の名称が与えられた伝説的なコニャックが、ヘネシー X.Oだ。ヘネシー家が家族や友人のために秘蔵してきた年代物のオー・ド・ヴィー(原酒)を、モーリス・ヘネシーが特別にブレンドしたことに起源を持つその一杯は、リッチでパワフル、かつ極めて滑らかな味わいにより、栄光と慶事の象徴として選ばれてきた。

ブドウの房をモチーフにしたその特徴的なボトルは、コニャック地方でも上位4地区の畑から収穫されたブドウのみで造られた、約100種類のオー・ド・ヴィーがブレンドされて生み出されるヘネシー X.Oの魂を表現したものだ。

「世界で最も愛されるコニャック」、ヘネシー X.O
今年誕生150周年を迎える「世界で最も愛されるコニャック」、ヘネシー X.O。ボトルの上半分に上品なゴールドをあしらい、シルバーデザインのボックスに入れた「ヘネシー X.O フランク・ゲーリー リミテッドエディション」は数量限定発売中。700ml24,600円。

このたび、ヘネシー X.Oの記念すべき誕生150周年に当たり、アメリカを拠点に活動するカナダ生まれの世界的建築家、フランク・ゲーリー氏のデザインによる限定ボトルが誕生。ポストモダンを象徴する、有機的な曲線を取り入れた大胆な建築で知られるゲーリー氏は、ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホールやスペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館のほか、フランスのパリにあるルイ・ヴィトン財団美術館(フォンダシオン・ルイ・ヴィトン)が代表作として知られ、フランスとは浅からぬ縁を持っている。また、ヘネシーは1794年、わずか18年前に独立したばかりのアメリカに初めて出荷して以来、同国で深く愛されてきた存在だ。

フランク・ゲーリー氏
フランク・ゲーリー氏は1929年カナダ、トロント生まれ。高校卒業後、ロサンゼルスに移住し、カレッジの夜間クラスで美術と建築を学ぶ。その後、南カリフォルニア大学で建築学士号を取得。80年代から住宅、商業施設、複合施設などの設計を幅広く手がけ、89年にプリツカー賞を受賞。

今回のコラボレーションについて、ゲーリー氏はこう語っている。

「私自身、ヘネシー X.Oを結婚や出産など家族のお祝いに使ってきた経験があります。それはもはや文化であり、私たちにとっても、長い時間をかけて関わってきた造り手にとっても、人生そのものです。だからこそ、今回のコラボレーションのお話はとても光栄でした」

150年、頂点に立ち続けてきたヘネシー X.O。その特別な歴史が、国境を超え、人々の中に深く根付いていたからこそ、当代随一の建築家の一人であるフランク・ゲーリー氏との奇跡のようなコラボレーションが実現したのだ。

ヘネシー X.O 1150周年 マスターピース by フランク・ゲーリーは、ゲーリー氏のこれまでの建築と同様に、彼の哲学、情熱、好奇心から生み出された。ヘネシー X.Oが持つ味わいだけでなく、歴史やサヴォアフェールを含めた、メゾンを取り巻くすべての環境から得たインスピレーションが表現されている。

手書きのデザイン図
ゲーリー氏による実際の手書きのデザイン図。

その香り、味わい、感覚。ヘネシー X.Oは、それ自体が芸術であるとフランク・ゲーリー氏は言う。

「今回の作品を作るために、まずはヘネシーの遺産を知り、敬意を払うことから始めました。そこから新しい何かを生み出すためです」

フランスのヘネシーのメゾンを訪れ、その歴史を受講し、同社のベルナール・アルノー会長と連れ立って、コニャック地方の川や貯蔵庫を見て歩いた。

「この経験を通して、ヘネシー X.Oを造り出す工程がいかに精密な作業であるかということを感覚的に理解しました。それはまさしく、頂点を目指すものです。また、それに関わる人々が、自分たちが作り上げてきた文化に対して非常に忠実であることに深く魅了されました」

建築家としてのフランク・ゲーリー氏は、「踊るビル」で知られるチェコ・プラハのナショナル・ネーデルランデン・ビルのように、壁も床も歪ゆがみ、うねり、建築の枠を超えて見る人に高揚感を与える、独創的な作品が特徴だ。そんな彼ならではのアプローチは、今回のコラボレーションでも踏襲されている。

「建築デザインでは、外装や内装の材料など、素材を深く研究することから始めます。長くそうしてきたので、素材の特徴やどんなことができるかは広く理解できています。今回のボトルも、異なる素材を使って、試行錯誤を繰り返した結果です」

インスピレーションとなったのは、メゾンの敷地内を流れるシャラント川の水や、上質なブドウが実るコニャックの土、そして光。ヘネシーが持つ特有のパワーを表現するために、ボトルは24金でコーティングしたブロンズの素材をシワ加工し、ギャザーのようなデザインを取り入れたマテリアルで覆った。そしてガラス素材のグロリファイアーがボトルのディスプレー台座として機能し、そこにあるだけで瑞みず々みずしい生命の躍動を感じさせる。

ヘネシーX.O 150周年マスターピース
ヘネシーX.O 150周年マスターピースby フランク・ゲーリー。

「今回のデザインのために選んだ素材は、光を美しく捉えることが特徴です。祝いの席で、テーブルに置かれているだけでも佇たたずまいのあるオブジェとして成り立つように考えました」とゲーリー氏は言う。

 素材への思いについて、氏はこんなエピソードを語っている。

「以前、ギリシャのデルフィを訪れたとき、無名のアーティストによって制作された銅製の像を見ました。それは戦車と操縦者の像で、とても古びていましたが、その美しさに私は思わず涙しました。誰かがこの無機質な素材で、人の心を動かすものを作り得たのです。

私の最も野心的な夢は、この銅像と同じように、人の感情を生み出し、それによって人々が幸せな体験をする作品を作ることです。その思いを込めて、今回のボトルでも、造形はすべて手作業で行っています」

 ゲーリー氏とヘネシーの情熱と哲学、自然や芸術への思いが融合して生み出された限定ボトル。その唯一無二の佇まいが、ヘネシー X.Oの新たな歴史の幕開けを感じさせる。

●MHD モエ ヘネシー ディアジオ
TEL03-5217-9736 

※『Nile’s NILE』2020年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

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