沖縄のアグーは戦争で激減し、食料難に陥った故郷を救うためにハワイの沖縄出身者が550頭の白豚を船で届けた。これによって沖縄の養豚は復活したが、代わりに白豚が主流となる。
絶滅したと思われていたアグーはしかし、1981年の名護博物館による調査で約30頭が確認され、うち18頭が名護市にある北部農林学校に集められて戻し交配により10年かけて復活を遂げた。
とはいえ、血縁が濃くなりつつあるアグーはいまだ希少であり、我那覇畜産では純アグーの「島黒(シマクルー)」のほか、日本や中国系の豚と掛け合わせた「やんばる島豚あぐー」と「やんばるあぐー」を飼育。
与那国島の化石サンゴやヨモギ、海藻、泡盛のもろみかす、オリオンビールの乾燥酵母などの栄養豊富なえさと清涼な水により、アグー本来の甘みのある脂肪とあっさりした味わいの肉を受け継ぐ交配種の「あぐー」を国内外に発信してきた。
会長から感じたのは、豚への愛。
「父も養豚をしていたので、子どもの頃から豚が身近にいました。小学生になると豚のえさにする米軍の残飯を一斗缶に入れ、バスと自転車を乗り継いで運んだものです。常に忘れないのは、豚に感謝してやさしく接し、大切に育てること。そうすると、不思議とおいしくなるのです」
もちろん、潰した豚は全身くまなくいただく。「特に鼻と尻尾の肉が好きですね」と話してくれた。
●我那覇畜産
TEL 0980-55-8822
shimakuru.jp
※『Nile’s NILE』2023年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています