旧華頂宮邸
鎌倉文学館の次に向かったのは、「旧華頂宮邸(きゅう かちょうのみや てい)」。浄明寺2丁目。竹の庭で知られる報国寺の先、静かな谷戸にあるこの邸は、華頂博信侯爵が1929(昭和4)年に建てた洋館。「端正な」という形容詞がよく似合う。
銅板葺(ふ)きの淡いグリーンの屋根、破風や屋根窓のついた三角屋根、華やかな破風飾りなどが特徴的。整然とした感じは、背後のフランス式庭園や内部の意匠にも通じる。玄関ホールの小ヴォールトと呼ばれるアーチ型の天井や、洋室のマントルピースなど、格調高い部屋の設(しつら)えに目を見張る。往時の華族の華やかな暮らしを彷彿(ほうふつ)とする素晴らしさだ。
また、庭園奥には、「無為庵(むいあん)」という茶室を含む和風建物がある。これは昭和46年に当時の所有者松崎氏が東京・上大崎から移築したもので、造られたのは昭和初期以前。洋と和の趣を楽しめるスポットである。
●旧華頂宮邸
神奈川県鎌倉市浄明寺2-6-37
TEL 0467-61-3477
10時〜16時(10月〜3月は15時まで)
休園日 月曜・火曜
鎌倉市景観重要建造物等保全基金
旧華頂宮邸をはじめとした歴史的建造物の維持保全には多くの資金が必要です。
鎌倉市では『鎌倉市景観重要建造物等保全基金』を創設し、ふるさと納税制度による寄附金を受け付けています。貴重な建造物を後世に伝えるため、ぜひご協力をお願いいたします。
鎌倉モダンの源流を行く 前編(鎌倉文学館)
鎌倉モダンの源流を行く 中編(旧華頂宮邸)
鎌倉モダンの源流を行く 後編(古我邸)