迸る“メグル・ブルー”

古くから時代や国を超えて存在する“筆跡(ブラシストローク)”の手法を用い、筆跡それ自体を立体的に表現した独自の作品を生み出す、現代美術家・山口歴氏。ニューヨーク・ブルックリンにアトリエを構え、ユニクロ、ナイキ、イッセイ ミヤケなど多数のブランドとコラボレーションする気鋭のアーティストだ。

Text Rie Nakajima

古くから時代や国を超えて存在する“筆跡(ブラシストローク)”の手法を用い、筆跡それ自体を立体的に表現した独自の作品を生み出す、現代美術家・山口歴氏。ニューヨーク・ブルックリンにアトリエを構え、ユニクロ、ナイキ、イッセイ ミヤケなど多数のブランドとコラボレーションする気鋭のアーティストだ。

山口歴

ニューヨークで現代美術作家のアシスタント兼アーティストとして活動して5年目に、初めて参加したグループ展で全8作品が完売。アーティストとしての自信をつけた山口氏に、スポットライトが当たり始めたのはここからだ。2015年には香港そごうによる30周年記念アーティストに選出され、30メートル大のビルボードを飾る。2017年にはイッセイ ミヤケ メンとコラボレーションした特別展示「OUT OF BOUNDS(アウト・オブ・バウンズ)」を銀座で開催。渋谷のストリートカルチャーを追いかけて育った山口氏ならではの感性は若者からの支持も高く、ナイキ表参道店の壁画やユニクロとのグローバルコラボレーションでも話題となった。アートとしてだけでなく、国内外のファッションブランドからも、熱視線を集める気鋭アーティストの一人に成長した。

筆跡(ブラシストローク)自体は、ルネサンス以前から時代や国境を超えて継承されてきた伝統の手法だ。しかし、そのいいところをカット&ペーストして新たな作品を生み出すという山口氏の手法は、既存の音源から音や歌詞を抜粋して組み合わせ、新たな曲を作るヒップホップのサンプリング手法にも通じる斬新なものである。「メグル・ブルー」とも称される鮮烈な青を始め、筆跡と色彩を駆使してかたどられた壁面や、人体・風景などをモチーフにした作品は、一度見たら忘れられない吸引力を持つ。そして、これらの作品が自宅や社屋を飾ったらどれだけ日常を刺激的なものにするか、想像しただけで胸が躍るに違いない。

※『Nile’s NILE』2019年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。