10回目となるチャリティーオークションONLY WATCHを、不測の事態が一度ならず二度も襲うことになるとは、いったい誰が予想しただろうか?
ONLY WATCHは、難病のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療法研究支援を目的に、モナコ大公アルベール2世の後援の下、2005年にスタートしたチャリティーオークションである。2年に1度開催され、名だたるメゾンが威信をかけて、このオークションのためだけに製作した一本のみのユニークピースを出品。収益はモナコ筋ジストロフィー協会に寄付され、そこから研究機関に資金提供などのサポートが行われる。
当初、ONLY WATCH 2023は11月5日に実施予定だったが、開催を前に資金の流れの不透明性を指摘する声がSNSなどで上がり、まずオーデマ ピゲが撤退を表明。チューダー、ショパール、ビバーら数ブランドがこれに続いた。一方、F.P.ジュルヌを始め、主催者を支持する声明を出すメゾンも現れ、混沌とした様相を呈することに。主催者はオークションを延期し、財務監査と組織体制を見直した上で、改めて実施することを発表した。
一体いつ実施されるのか、そもそも実施可能なのか、危ぶむ声もあったが、Watches&Wonders Geneva 2024の会期中の4月13日、一定の財務調査や組織の再構築が完了したとして5月10日の開催がアナウンスされた。意外と早い再開催、しかも発表から1カ月足らずで実施。準備期間は十分なのか、本当に透明性は担保されたのか、疑問視する声もあったようだ。参加ブランド数は、当初の63から47に減少していた。
二度の不測の事態を乗り越え開催されたONLY WATCH 2024が意味するもの
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