二度の不測の事態を乗り越え開催されたONLY WATCH 2024が意味するもの

  • 不朽の価値、第18回、まつあみ靖 不朽の価値、第18回、まつあみ靖
    ●今回の最高落札額となったパテック フィリップのSS製グランド&プティットソヌリ・ミニット・リピーター「6301A」。
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    ●F.P.ジュルヌ「クロノメーター・ブルー・フルティフ」。パワーリザーブ表示とムーンフェイズを裏面に備えた18K製新キャリバーをタンタルケースに搭載。
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    ●リシャール・ミル「タリスマン オリジン」。スイス山中で発見された古代の遺物をコンセプトとするペンダントウォッチ。
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10回目となるチャリティーオークションONLY WATCHを、不測の事態が一度ならず二度も襲うことになるとは、いったい誰が予想しただろうか?

ONLY WATCHは、難病のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療法研究支援を目的に、モナコ大公アルベール2世の後援の下、2005年にスタートしたチャリティーオークションである。2年に1度開催され、名だたるメゾンが威信をかけて、このオークションのためだけに製作した一本のみのユニークピースを出品。収益はモナコ筋ジストロフィー協会に寄付され、そこから研究機関に資金提供などのサポートが行われる。

当初、ONLY WATCH 2023は11月5日に実施予定だったが、開催を前に資金の流れの不透明性を指摘する声がSNSなどで上がり、まずオーデマ ピゲが撤退を表明。チューダー、ショパール、ビバーら数ブランドがこれに続いた。一方、F.P.ジュルヌを始め、主催者を支持する声明を出すメゾンも現れ、混沌とした様相を呈することに。主催者はオークションを延期し、財務監査と組織体制を見直した上で、改めて実施することを発表した。

一体いつ実施されるのか、そもそも実施可能なのか、危ぶむ声もあったが、Watches&Wonders Geneva 2024の会期中の4月13日、一定の財務調査や組織の再構築が完了したとして5月10日の開催がアナウンスされた。意外と早い再開催、しかも発表から1カ月足らずで実施。準備期間は十分なのか、本当に透明性は担保されたのか、疑問視する声もあったようだ。参加ブランド数は、当初の63から47に減少していた。

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    ●ウブロ「タカシ ムラカミ トゥールビヨン」アーティスト村上隆とコラボ。アイコニックなスマイリングフラワーをモチーフとするサファイアケース全体にジェムセッティングを施したセンタートゥールビヨンモデル。落札額42万スイスフラン(約7225万円)。©TM/KK
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    ●ブルガリ管轄下からルイ・ヴィトン傘下としてブランド再興が発表されたジェラルド・ジェンタ。ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンが初めて手がけた、ミニッツリピーター搭載のミッキーウォッチ。落札額17万スイスフラン(約2925万円)と予想価格を下回ったのは残念。オンラインビッドができなかった影響を指摘する声も。©Disney
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    ●ビンテージテイストや凝ったディテールで、低価格ながら通もうなるファーラン マリ。レジェンド時計師ドミニク・ルノー&若き鬼才ジュリアン・ティシエとコラボした初のセキュラー・パーペチュアルカレンダー。13万スイスフラン(約2240万円)で落札。
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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。