私の研究所は世界の”潮目“を我が国から見通す、ということだけをやっている。役人時代の旧友たちには「よくそれでメシが食えるね」と言われるが、私の方からすればそれ以外に重要なことなど、この世にはないのである。
そうした観点で見た時、今、とりわけ我が国において気になって仕方がないことがある。
昨年(2019年)晩秋くらいから、どうも我が国の女性たちがそこかしこで落ち着きがないのだ。ややもするとせっかく得ていたはずの安定した立場やポジションを放棄してまで、別のどこかへ行こうとしている。「そちらではないよ」と諫めたところでどうにもこうにも言うことを聞かないのだ。
特に経営者である読者の皆様の中にはそんな彼女たちの姿を目の当たりにして途方に暮れている方も多いのではないかと拝察している。
「 どうしたものか」そう思案し続ける私のところに、北海道の某地に暮らすメンターからいきなり電話連絡があった。メンターは我が国古来の「極意」を体得された方である。しかも私がその瞬間にどうしても思いあぐねていることに対して、ピタリと答えを伝えてきてくださる方なのだ。その時も全くそうなのであって、まさに「このこと」について開口一番、私から問いかけることもなく「答えて」いただいた。 いわく、こういうことだ。
女性の体内は基本的に「酸性」である。それに対して相対的に、ではあるが外部環境はアルカリ性なのである。それが、ここに来て女性の体内、特に子宮が「酸性」から「アルカリ性」に変わってしまっているのだという。何か目に見えるものでいきなりそうなったというわけではなく、むしろ目に見えない環境の結果、そうなっているのだという。
「だから衣服、特に肌身に触れる下着を酸性に近いもので洗い、着用すれば実はすぐに治るのだよ」とメンターは喝破した。
これに対して男性はというと、逆なのだという。元来、男性の体内、特に精巣はアルカリ性でなければならない。しかし、ここに来てこれが酸性になってしまっており、これがひいては少子化の遠因にもなってしまっているのだという。
もっとも、こちらの方は単純にアルカリ性の洗剤でというわけには行かないらしい。メンター、いや「先生の先生」という意味合いを込めてマスターは現在、これへの対処法を思案しているとのことだった。
「中庸が全てなんだよ、中庸が。パンデミックになっても、何があっても、要するに健康とは中庸でバランスがとれているかどうかによって判断されるべきだ。その意味で酸とアルカリ、これがまずは基本。よく覚えておくように」
遠く北海道の某地からの架電にしばし茫然としていた私に対して、メンターはこう言い放って電話を切った。いつものことだが、実に明快、豪快な人物だ。
メンターはしばしばこうもおっしゃられる。「気分で全ては変わる。しかしその気分というのは結局、体調から来ているはず。そうであれば体調を整えることこそ、まずは第一と心得るべきなのだ。それ以上でもそれ以下でもない」酸とアルカリと並んで、ナトリウムとカリウムという対もある。まずは読者自身も日々の生活の中でどちらを多く摂取しているのか、チェックしてみてはどうだろうか。酸とナトリウムは活性化、アルカリとカリウムは不活性化・沈静化、という効能が一般的にはある。バランスを失しているなと思ったらば、これを直すだけで意外に上手く行くこともあるのかもしれない。
原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。