再び『日華の金塊』について考える

時代を読む-第42回 原田武夫

時代を読む-第42回 原田武夫

時代を読む――原田武夫 第42回 再び『日華の金塊』について考える

私はかつて『狙われた日華の金塊』という本を上梓(じょうし) したことがある。2010年のことだ。金融マーケットの奥底で常に語られてきた我が国の皇室が保有していたとされる金塊について、ギリギリのところまで調べた本であった。

他方、我が国のマーケットでいまだに語られることがある話題の一つに「M資金詐欺」がある。GHQの最高司令官であったマッカーサーの名の頭文字をとったともいわれる謎の巨大ファンドがあり、それが時折、海底から浮かび上がるクジラのように、その頭をもたげてはマーケットに富を振りまくことになるというのである。これに魅了された人々は数知れず、しかしそれらは全てが「詐欺」であったため、これまたとてつもない量の金銭が天才的な詐欺師たちの手にわたってきたというわけなのである。

しかし、である。俗に「火のないところに煙は立たず」だ。何ら根拠もないのに、これほどまでに精巧かつ大規模な虚言が未だに語り続けられるということは、常識的に考えて想定できないのである。ところが不思議なことに、そうした至極まっとうな疑問を口にすると、今度はその発言者の信頼性そのものが疑われてしまうのだ。そのため「M資金」や謎の「天皇マネー」については、マーケットの誰しもが知っていながら、決して表向き語られることのない話題となってしまっているのである。

今やグローバル経済は、救いようがないくらいの大混乱に陥っている。量的緩和を日米欧中が史上空前の規模で行い、その一方でマイナス金利策を導入。そうすることで名目金利を引き下げ、インフレを本格展開することでその差である実質金利を思いっきり下げながら、「カネを借りないリスク」を創り上げる。そこで破壊的なイノベーションを一気に打ち出し、新たな需要とマーケットを創り出す中、ブレイクスルーを得る。―これが元来、米欧の統治エリートたちが思い描いたシナリオなのであろうが、なかなかうまくいかないのである。その結果、グローバル社会はそれこそずぶずぶと底なし沼に落ちていってしまっているのだ。

ここで考えるべきなのが、近現代の資本主義を始めた聡明(そうめい)なる英米の統治エリートらの祖先たちは、果たしてこうなることに一切気づいていなかったのかという点なのである。このことについて最近、とある碩せき学がくから大変な「史実」をお聞かせいただいた。端的に言うと、そもそも近現代の資本主義が始まるにあたって、米欧の統治エリートらは「こうなること」が分かっていた、だからこそ最終的に「世界救済ファンド」とでもいうべき仕組みをも、同時に創ってきたのだというのである。

これが仮に事実だとなると、今行われている金融経済政策とは一体何なのかということになってくる。またそれ以上に、一体誰が何の権限で、そのような莫大(ばくだい)な量のファンドを管理しているのかも、ぜひ知りたいのである。そして最終的には、この「世界救済ファンド」と我が国皇室との関係も、気になって仕方がないのだ。そうした疑問を表情に出した私に対して、かの碩学は一言こう答えてくれた。

「時が来るのを待て。必ず分かる」

 このファンドは果たして、私がかつて書いた『日華の金塊』と同じなのか。それとも違うのか。「歴史の真理」を巡る熱い季節が始まっている。

原田武夫(はらだ・たけお)
元外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。
https://haradatakeo.com/

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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