最後に、私が編集した『CG STEREOGRAM 2』に寄稿してくれた「ステレオグラムと音楽のグルーブ」という一文(名文)に触れておきたい。これは、人間の脳に立体を認識させる原理と、音楽におけるグルーヴ」という一文(名文)に触れておきたい。これは、人間の脳に立体を認識させる原理と、音楽におけるグルーヴを感じさせる原理は共通で、それは周期性のズレであるという発見についての解説である。聴覚におけるこのズレの大きさが沖縄音楽と黒人音楽グルーヴの違いになり、視覚におけるこのズレの大きさが立体の深みになる。これを世界で初めて数量的に明らかにし、コンピュータで人工的にグルーヴを作れるようにしたのが、細野、坂本であり、それは現在のポピュラー音楽の製作現場に大改革をもたらす大発見だった。
根本恒夫 ねもと・つねお
1948年、東京都生まれ。小学館の雑誌『GORO』『写楽』などの編集部に在籍、YMOの写真集『OMIYAGE』『SEALED』なども手掛けた。学年誌や『Sabra』などの編集長を歴任。リタイア後の現在は、ライブハウスでのオープンマイクやセッションに積極的に参加するなど音楽活動に没頭中。
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