建築関連会社KRH&CO.LTDの代表取締役を務める青山光司氏。彼は、世界にわずか12台のレーシングカー、マセラティMC12コルサを始め、エンツォ・フェラーリ、フェラーリ430スクーデリア、F50、F40、ロールス・ロイス ファントム……まさに世界の頂点をきわめるスーパーカーの数々を所有する、無類の車好きだ。
そんな彼に、譲れない車へのこだわりがある。それは「世界に唯一無二、自分だけのもの」であること。ハイスペックや高性能、豪奢さを超越した、真に「スーパー」な車にしか興味はない。そう言ってはばからない彼が行き着いたのは、車のオーダーメードだ。
本国ドイツで職人と作り上げた一台
オーダーメードと言っても、メーカーが用意したオプションを組み合わせるものから、設定にないものを特注するものまで幅広いが、青山氏のメルセデス・ベンツG55XXLは後者に当たる。これは、メルセデスのチューニング部門であるAMGにパーソナルオーダーしたもの。それも、ドイツのAMG本社工場に4回足を運び、現地のスタッフと直にやり取りをしながら作り上げたという。
「レザーの色、ステッチの一つひとつ……せっかくやるなら、何もかも自分好みにしたいですから」と青山氏。それには、日本にいながらでは出来ることが限られるし、何より、間に人を挟むと自分の思いが伝わりにくい。「本当に思い通りの車を手に入れるなら、現場の職人とダイレクトに意見をかわしながら作るのがベストです」。
究極の車を手に入れる歓び
青山氏のいかなる“我がまま”にも、AMGのスタッフが最初から「NO」と返すことはなかった。天井やフットスペースを含む車内全体にキルティングを施したいと言えば、「カーブのある面は難しいが、トライしてみよう」。また、Wサンルーフにしたいとの要望には、剛性の問題から渋い顔をしたものの、青山氏がどうしても、と食い下がると「時間はかかるが、出来るかもしれない」と引きうけ、最終的には実現してくれた。
「スタッフと息が合い始めると、こちらがこうしたい、と伝えると、相手もいいね!とのってくるようになる(笑)。サービス精神とプロ意識が高いドイツの職人と共に車を作る、その過程もまたオーダーメードならではの楽しみです」
発注から納車までに要した時間は、実に2年。打ち合わせだけでも1年かかったという。すぐにでも手に入れたい衝動に駆られはしなかったのだろうか?
「待つのはむしろ楽しみ。世界に2つとない、自分だけの究極の車を手に入れる歓びを前に、時間は大きな問題ではありません」
※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています