世界で最も歴史ある自動車メーカーとしての自負を持つメ ルセデス・ベンツ。当然の義務として、こうしたヒステリックな状況になる以前から燃費の低減に努力してきている。
その結果、現在の燃費や有害物質の排出量は確実に低下している。それは決して大げさなシステムではなく、ガソリンや ディーゼル・エンジンのきめ細かな高効率化、ボディの空力特性改良などによって達成してきた。また将来的な環境技術として、「SCR(尿素噴射)システム」によるクリーン・ディーゼルや、ディーゼルとガソリン・エンジン双方の良いところをとった「ディゾット・エンジン」、さらに燃料電池の開発なども積極的に行ってきた。未来に向けての展望もはっきり している。
しかし、これまでに日本で市販化された環境技術 クリーン・ディーゼルのようにSCRを使わない中間解決策で済ませているなど、BMWのように明確な対策を施したモデルは無かった。
そこでメルセデス・ベンツは、今夏から欧州内 で「ブルーエフィシエンシー」と名付けた環境パッケージを各モデルに用意する。
CO2削減しても減らない矛盾
ブルーエフィシエンシーではまず、フェイスリフトを行ったAクラス・ボディ(A150)にアイドル・ストップやブ レーキ・エネルギー回生装置、転がり抵抗の低いタイアなどを採用し、燃費の向上と二酸化炭素低減を図る。続いて、SCR搭載のクリーン・ディーゼルを北米で販売開始。また、2009年までにはリチウムイオン電池を搭載した マイルド・ハイブリッド仕様のSクラスを発売することもアナウンスしている。さらに、彼らの描くロードマップ はディーゼル・ハイブリッド、そしてディゾット・エンジンとハイブリッドの組合せ、その先に燃料電池モデルへ と続く。
注目すべくは、彼らのプログラムにはCO2発生量がトヨタ・プリウス(104g)よりも少ないスマート・ディ ーゼル(88g)まで用意されている事実だ。が、一方では排出量378gのGL55AMGのように「二酸化炭素などノーケ ア!」の富裕層向けモデルが存在するという矛盾も。
果たして、メルセデス・ベンツは自身で描いたロードマップを実行できるのか。それが今後の課題であろう。
※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています