最高にラグジュアリーな新時代のフラッグシップ
豹変!
新しいジャガーXJを眼にした人は、誰でも、その変わり振りに驚くことだろう。まさに、豹変という言葉がピッタリだ。
これまで、ジャガーといえば、曲線と曲面を多用したクラシック調のスタイリングが特徴だった。40年前に発表された初代XJだ けでなく、それ以前も含めたすべてのジャガーがブリティッシュ・クラシックの意匠をまとっていた。
それが、いったいどうしたというのだろう。今度のXJは、超モダンな姿ではないか。クラシックどころか、いま、世界のラグジュアリーサルーンの中で最もアバンギャルドなスタイルをしている。
Cピラーと呼ばれる、屋根とリアフェンダーを結ぶ柱部分を見て欲しい。象眼細工のように、黒い樹脂製のパネルが嵌め込まれている。
さらに、サンルーフが前席と後席それぞれに設けられているので、ガラス面とスチール面が反復されて見え、まるで、大きなキャビン全体が浮き上がったように見える。Cピラーにこんな視覚的なアクセントを施した例を他に知らない。
テールライトユニットは細く縦長のものが、3次元的に斜めに取り付けられ、フロントグリルはXFのテーマを発展させたものだが、XFのそれよりも彫りが深く、迫力がある。新しいXJには、旧型の面影が潔いくらいにまったく見当たらない。
今年3月にパリ近郊のヴェルサイユで行われた国際メディア試乗会場には、チーフデザイナーのイアン・カラムがいた。もう何十回、いや何百回も訊ねられたに違いない質問を、自ら切り出した。
「みなさんは、“なぜ、エクステリアデザインを大きく変えたのだ?”と疑問をお持ちになるかもしれません。たしかに、旧型から変えました。新型XJは、新しい時代の新しいジャガーのフラッグシップなのです」
インテリアも革新している。XFで採用された円柱形のギアセレクターや、モニター画面と化したメーターパネルに投影される各種メーター類が新しい。シートや内張りの革内装は、これまでのジャガーの文法に則っている。
走りっ振りは、ジャガーそのものだ。乗り心地はあくまでしっかりしていながら、よく動くサスペンションとよく切れるハンドルによって、どこまでもタッチは柔らかく、優しい。巡航姿勢はフラットなのに、山に入ってコーナーとアップダウンが連続すると、ふたまわりくらいボディが小さくなったように感じられ、一体感が一気に増してくる。
アルミボディのガッチリ感とカッチリ感が一層高められ、ATとサスペンションの電子制御が賢くなったことも印象的だ。姿かたちは一変したが、身のこなしはこれまでのXJの延長線上にある、ジャガーそのものだった。新型XJとは、そういうクルマだ。
●問い合わせ ジャガーコール TEL0120-050-689
※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています