レクサスCT200hによる京都ドライブ。
ホテルグランヴィア京都のコンシェルジュも推す、比叡山・延暦寺へ足を延ばす。そこを起点に、よき伝統をいまも守る古都を回った。
クルマと街は似合う。とくに背景としての建物群が美しい古都によく似合う。
その意味でレクサスのような、たたずまいの美しいクルマは京都にしっくりくる。
もうひとつ、京都とレクサスの相性のよさがある。山の存在だ。
京都の北東には、比叡山がそびえたつ。最澄が延暦寺を開いた山として知られるが、京都への遷都以来、都の鬼門にあって京都を守る役割を担ってきたのも比叡山だ。
街から20分も走れば到達してしまう距離にありながら、比叡山の総面積は1700haと広く、比叡山から街を見下ろすと、主従が逆転した気になる。
そこはまた、運転が楽しめる場所でもある。
1958年にはやくも比叡山ドライブウェイが開通し、延暦寺を通り、頂上まで到着する。また奥比叡ドライブウェイとつながっていて、滋賀へと降りていくこともできる。
クルマの世界では、ヒルクライムといって、山道を走り時間を競うレースがあるぐらいで、山にのぼるのは一種特別なことだ。欧州の一流スポーツカーはたいてい、この競技で名前を馳せた歴史を持つ。
修行の地であり、ゆたかな自然があり、ドライブコースでもある。比叡山とひととクルマは切っても切り離せない。
比叡山を走ったレクサスCT200hは、レクサスとしては初の5ドアハッチバック。1・8リッターガソリンエンジンと電気モーターによるハイブリッドシステムも特徴だ。そのいっぽうで、走る楽しさを追求したことも謳われる。
「カーブを曲がるときなどのハンドリング性能を高めることに心血を注いだ」
以前、このクルマの開発担当者が誇らしげにそう語っていた。
時期にもよるが、比叡山ドライブウェイは森閑とした林間コースだ。CT200hの革巻きハンドルを握り、カーブをこなしていくと、クルマと一体感のあるドライブが楽しめる。
ハンドルは少し重めの設定で、切りこんでいくと車体がきもちよく反応して向きを変えていく。爽快だ。ドライブモードセレクトで「スポーツ」を選択すると、電気モーターの電圧が高まり、よりパワフルになる。
アップとダウンに合わせて、クルマのキャラクターを操作するのも、また楽しい。
CT200hは、ドライブを楽しむことができるクルマだ、と頂上まで8・1kmの道のりで再確認できた。
ボディに新開発のパフォーマンスダンパーを採用したのも注目点。これにより不快な動をとりさることにも成功している。軽快な走りのなかに気持ちよさをとりいれている。そこがCT200hの新しさでもある。
比叡山延暦寺の中核ともいえる根本中堂に参拝のため、クルマを降りると、なんの波紋もおきない水面を連想した。しずかさが際立つ。
「この時期は、山は眠る、というのですよ」
案内してくれた比叡山のひとがそう説明してくれた。
眠っている山を包んでいたのは、煙雨だ。
この景色が見られて幸運ですよ、と教えてもらった。もやとも小雨ともつかない、空からの水がお堂の屋根や樹木にまとわりつくように頭上の空間を満たしている。
そこにあって、ハイブリッドのCT200hは、自動的にエンジンを停止して、しずかにたたずんでいる。その光景は、1200年以上の時を隔てて日本の精神が向かいあう場面を連想させた。
食べ物から織物まで息づく伝統を訪ねる
街中に下りてきて、京都の伝統が守り続けられる場所を訪れたときも、クルマと街の雰囲気がよく合っているように思えた。
京都の道は幅員が広くなく、つまり背景の建物がぐっと押し出してくる印象が強い。だからクルマ好きの視点からすると、街に似合うクルマとそうでないクルマがあるように思える。その点でもCT200hは、溶け込みつつ消えない、というようにうまく存在感を保っていた。
西陣織の伝統を伝える「織成舘(おりなすかん)」や、日本で唯一の金平糖専門店といわれる「緑寿庵清水」は、京都のものづくりの伝統を誇りに思っている。
細やかな作業と全体への目配り。いいものとは、おそらく微視的な視野と巨視的な視野で作られると思うのだが、時代を先まで見据えていないと、残ることはむずかしいかもしれない。
過去と未来をつなぐ視点。それがレクサスCT200hとどこかで通じ合う。
なぜかというと、精神に共通性があるからではないだろうか。
同じことは、延暦寺におけるCT200hの姿にも感じた。
レクサスにコンパクトなボディとハイブリッドシステムを備えた、新しいモデルの誕生。
話が比叡山に戻るが、そこで想像したのは、最澄が延暦寺を開いたときのことだ。おそらく、当時の境内は、最澄らが唐から持ち帰った新鮮な思想で満ちあふれていたのではないか。当時としてみれば新しい「技術」といってもいい。
そこもレクサスに通じるものがあるような。環境に配慮しつつ、クルマ本来の味わいかたもきちんと残してくれている――。その上手な融和は、ひとつの思想だ。比叡山、そして京都、そしてレクサスは、その意味で、大きく響き合うものを感じさせてくれた。
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※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています