コンパクトだが余裕あるQ3
アウディQ3は、日本でもセールス好調というQ5の下に位置するモデルで、さきにも書いたように外寸は比較的コンパクトで、かつクーペのようなデザインゆえ、スポーツカーの代わりに乗ってもいいようなスタイリッシュさを持っている。
外観は、現在のA8、A6、そしてA1という新しいモデルと共通する、最近のアウディのグリルをはじめ、LEDを効果的に使ったヘッドランプとリアコンビネーションランプが目を惹く。アウディの大きな魅力である高品質感はしっかりあり、ボディ各部の合わせ目がぴしっとしている。その硬質感とともに、内装の作りのよさが印象に残る。リアのハッチゲートが寝かされているが、荷室は狭くない。身長175cmの男が4人乗車していても、大型スーツケース2つを楽々搭載できる。リアシートは分割可倒式なのでゴルフクラブなど長尺ものを入れるのも問題ないはずだ。
インテリアは、ボディ幅に余裕があることもあり、広々感が強い。スポーティな印象を強調するようにした、と内装を担当したアウディ・デザインセンターのデザイナーは語っていたが、タイト(窮屈)でなく、いわゆるヨンクに時々あるような落ち着かなさもなく、いいかんじのクルマとの一体感がある。
アウディQ3の操縦感覚は、万人向けだ。いきなりセダンから乗り換えても、なんの違和感もない。2リッターターボエンジンは、低回転域のトルクが豊富、つまり、少しアクセルペダルを踏んだだけでクルマが力強く加速する。それにハンドルを切ったときに車体が動く感覚が自然で、スポーツカーほど過敏でないが、ヨンクという言葉から連想されるほど鈍でない。タイヤ(ピレリ・スコーピオン)が硬めのキャラクターをもっていたせいでハンドルへの反応速度が高かったのかもしれないが、運転好きのひとも、Q3は満足いくと感じられた。
乗り心地は快適で、フワフワとしていないし、路面の凹凸でポンポンはねることもない。中国の道では意外にもきれいな舗装路が多かったせいかもしれないが、気持ちよく運転できた。室内の静粛性も高く、中国の3車線の高速道路の法定速度である120km/hでは外部からの侵入音が大きく感じられることはない。後席にいても(静かだな)と思えた。
燃費も重要なテーマ、とアウディでは言う。Q3にはエンジンのトルクをムダなく駆動系に伝える7段Sトロニック変速機が採用されている。加えて、信号待ちなどでエンジンを停止させる「スタートストップシステム」をはじめ、ブレーキを踏むとそこで電気がおきバッテリーに充電される「エネルギー回生システム」、さらに、一定速度での高速走行時にクラッチが切られてエンジンがアイドリング状態になる「コースティングモード」も。燃料消費を抑えてくえるさまざまな技術が投入されている。