IWCの「タイム・ウェル・シェアード」に野口健氏が参画
1868年スイス・シャフハウゼンの地に創業以来、質実剛健かつ信頼性の高い時計製造の歴史を刻んできたIWC。CSR活動に積極的なスタンスでも知られている。スポーツを通じて子供たちの支援や社会貢献を行う財団「ローレウス・スポーツ・フォー・グッド」や、海洋環境保全活動を進めている「クストー財団」、また作家サンテグジュペリの精神を受け継ぎ、恵まれない環境下の青少年を支援する「アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ・ユース財団」などとパートナーシップを締結し、よりよい社会の実現に取り組んでいる。
そんなIWCが、登山家として輝かしい実績を持ち、社会貢献活動にも積極的な野口健氏と深い絆で結ばれたのは、2007年のこと。野口氏は、同年のエベレスト登頂後、ベースキャンプから日本に電話を入れ、「一目ぼれだった」3000本限定の「ポルトギーゼ・F・A・ジョーンズ」を注文する。
この時計は、3名が命を落とす過酷な登山の中で思い至った「生きて帰る覚悟」を象徴するものとなった。それを知ったIWCは、野口氏が立ち上げたシェルパ基金の支援を申し入れ、翌08年200本限定の「インヂュニア オートマティック 野口健シェルパ基金モデル」を発売。売り上げの中から、シェルパの子供たちの学費約10年分が寄付された。以来、野口氏とIWCは、同じ思いと目標を共有し続けている。
今、世界は新型コロナウイルスによって大きな危機に直面している。この状況下、IWCは従業員、ブランドアンバサダー、パートナーが一体となり、デジタルチャネルを通じて人々をサポートしインスピレーションを促すプロジェクト「タイム・ウェル・シェアード」を立ち上げた。各国のアンバサダーによる、サンテグジュペリの『星の王子さま』の朗読やオンラインレクチャー、WEBセミナーなどのコンテンツを公開している。
野口氏も、16歳の愛娘である絵子さんとともに、このプロジェクトに参加。彼女は昨年キリマンジャロ登頂を果たし、早くも登山家として将来を嘱望される存在。留学中のニュージーランドでロックダウンを経験し、いまだ帰国がかなわない中、それにめげず独自のトレーニングメニューを披露している。野口氏も“ステイホーム”下で、腹筋やスクワットなどの下半身を中心とするトレーニングをレクチャーする。今年、父娘で初のヒマラヤ6000m峰登頂を目指しながら断念を余儀なくされたが、決意を新たにするビデオ通話サービスを通しての父娘のトークもほほえましく、勇気を与えてくれる。
「ステイホーム期間を経験して、登山を始めた高校生の頃の気持ちを思い出しました。当時は、小さな挑戦を積み重ねて、やっとヒマラヤでしたからね。遠くの大きな目標を抱いて挑戦するのもいいんですが、目の前の小さな目標を一つひとつコツコツと積み重ねていくことの大切さを、改めてしみじみ感じています」
そう語る野口氏がIWCとともにポストコロナの時代にどんなメッセージを届けてくれるか、期待したい。
●IWC
TEL 0120-05-1868
※『Nile’s NILE』2020年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています