花開く1930年代のDNA

IWCを代表するコレクション「ポルトギーゼ」の誕生については、ご存じの方も多いかもしれない。
1930年代後半、二人のポルトガル時計商からの「スチールケースでマリンクロノメーター並みの高精度な腕時計を」という要望から誕生したモデルのDNAは、今、IWCの旗艦的存在へと進化を遂げた。中でも特に注目を集める2タイプにスポットを当て、人気の秘密を探る。

Photo Takehiro Hiramatsu(digni) Text Yasushi Matsuami

IWCを代表するコレクション「ポルトギーゼ」の誕生については、ご存じの方も多いかもしれない。
1930年代後半、二人のポルトガル時計商からの「スチールケースでマリンクロノメーター並みの高精度な腕時計を」という要望から誕生したモデルのDNAは、今、IWCの旗艦的存在へと進化を遂げた。中でも特に注目を集める2タイプにスポットを当て、人気の秘密を探る。

  • 「ポルトギーゼ・クロノグラフ」 「ポルトギーゼ・クロノグラフ」
    シックでプレステージ感あふれるRGタイプ、端正かつアクティブなSSタイプ、いずれ劣らぬ魅力に目移りしそう。
    「ポルトギーゼ・クロノグラフ」
    自社製キャリバー69355搭載、自動巻き、レッドゴールドケース×サントーニ社製ダークブラウンアリゲーターストラップ、直径41㎜、3気圧防水。2,139,500円。
  • 「ポルトギーゼ・クロノグラフ」 「ポルトギーゼ・クロノグラフ」
    「ポルトギーゼ・クロノグラフ」
    SSケース×アリゲーターストラップ、その他のスペックは共通。951,500円。
  • 「ポルトギーゼ・クロノグラフ」
  • 「ポルトギーゼ・クロノグラフ」

懐中時計用のムーブメントを搭載し、直径は42㎜。1930年代当時としては破格のラージサイズと、航海用時計に匹敵する高精度を誇る腕時計として誕生した「ポルトギーゼ」。その名を受け継ぐモデルが、IWC創業125周年記念として1993年に復刻されるや、人気に火がついた。

これを受け「ポルトギーゼ・クロノグラフ」が登場したのが98年。30分積算計を12時位置に、スモールセコンドを6時位置に配した縦型2カウンター仕様。すらりと伸びたリーフ針やアラビア数字のアプライドインデックス、ドット状のミニッツマーカーなど、オリジナル譲りのオーセンティックな端正さに加え、クロノグラフならではのスポーティーなニュアンスも。スリムなベゼルは、完成された絵画を引き立てる額のように、ダイヤルと絶妙のバランスを奏でている。

2019年には、それまでの汎用ムーブメントに代わって自社製キャリバーを搭載し、信頼性を向上させた。しかし、そのルックスはほぼ変更されていない。デビュー当時から、この時計の完成度がいかに高く、タイムレスな存在かが分かる。

この「ポルトギーゼ・クロノグラフ」、日本での人気は言わずもがな、ヨーロッパ、特にイタリアのファッショニスタから絶大な支持を受けている。エレガントなスーツや高級素材で知られる、さるメゾンのマーケティング経験者が、こう証言する。

「ブランドCEOは、来日するときも、こちらが本社を訪れたときも、決まって『ポルトギーゼ』。その影響なのか、ボードメンバーのほとんどが、この時計を着けるようになった。ファッションシーンを知り抜いている人にとって、この時計は必須アイテムでした」

実は「ポルトギーゼ・クロノグラフ」を、ミラノでは多くの女性が買っているというデータがある。端正でスマートなルックス、それに見合う充実の中身。もし、この時計を身に着けた女性と出会ったなら、これを選ぶ審美眼を持ち、知的な雰囲気にあふれた彼女は何者? そう思わずにはいられないだろう。

性別を問わずオーナーの人となりを雄弁に語る時計だからこそ、シェア・ウォッチとしてもお勧めできる。

「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー“ブティックエディション”」
大の月、小の月、うるう年の2月末を含め、2100年3月1日まで日付調整を必要としないパーペチュアルカレンダー機能を搭載。IWCブティック限定の深みのあるブルーダイヤル仕様。
「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー“ブティックエディション”」
自社製キャリバー52610搭載、自動巻き、Armor Gold®ケース×サントーニ社製ブルーアリゲーターストラップ、直径44.2㎜、3気圧防水。IWCブティックのみでの取り扱い。4,873,000円。

「ポルトギーゼ」の中でも、プレステージ感と複雑機構の魅力を堪能できるのがゴールドケースの『ポルトギーゼ・パーペチュアルカレンダー』だ。

IWCを象徴する4桁の西暦表示を備え、ムーンフェイズは577.5年で1日の誤差しか生じない超高精度。約7日間のロングパワーリザーブを誇る。ブティックエディションだけのブルーダイヤルは、傷つきにくくシックな色調のArmor Gold®のケースに映える。IWCの伝統とプライドから誕生した傑作と言うほかない。

最近、時計の資産価値への注目度が高まっている。

昨年5月、フィリップスのオークションに「ポルトギーゼ・クロノグラフ」に先だって開発されたスプリットセコンド・クロノグラフのプロトタイプが、90年代当時IWCの技術者として製作に携わった人物によって出品された。8000~1万6000スイスフランという予想を大幅に上回り落札額は11万9700スイスフラン(約1500万円)。IWCの時計の高い評価を伝えるひとつの逸話として、最後に紹介しておきたい。

●IWC TEL0120-05-1868 

※『NilE’S CODE』VOL.4に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。