広大な自然に恵まれた米国を指して、4WDカントリーと呼ぶ人がいる。リンカーン ナビゲーターは、4WDを日常の道具として使いこなす国ならではの知見と高い技術が作り上げたモデルである。長い距離を移動する人たちのために、かつて米国では自動車史で最も偉大なモデルといえる、フォードT型が開発された。人のためにクルマがあるという同国の自動車開発の歴史。ナビゲーターもそれをなぞるクルマと言うこともできる。
使う人の生活に忠実であるというのは、あらゆる点で完成度が高いことを意味する。最新技術が盛り込まれ悪路走破性が高いオフロード性能を始め、624Nmの大6トルクで豪快な走りが楽しめる3.5リッターV6エンジン。容量たっぷりの荷室と8人の乗車定員によって、ゴルフ、マリンスポーツ、ウインタースポーツ、それにキャンピングなどどんな用途にも対応できるパッケージ。そしてタキシードも似合う優雅なたたずまいと、快適性の高い室内。全てがそろっている。
四輪駆動システムは必要に応じて駆動方式を切り替えられるパートタイム式。高速道路などでは燃費効率重視の二輪駆動として使えるので実用的だ。安全装備の面では、ドライバーの運転状況をコンピューターがモニターし、車両の挙動を安定させる「ロールスタビリティ・コントロール付きアドバンストラック」が採用されている。さらに、車両の死角にいる車両や後退時に近づいてくる車両の存在を知らせる「BLIS(ブラインドスポト・インフォメーション・システム)」と「CTA(クロストラフィック・アラート)」と便利な装備を搭載。
オーバースピードでコーナーに進入してしまった際、瞬時にエンジン出力を絞ると同時に、各車輪個別にブレーキを作動させ、車両がコース外へ飛び出すのを防ぐ「カーブコントロール」も注目の技術だ。
グリルの背後にパワフルなエンジンが収まっていることを感じさせるボリューム感のあるフロントセクションは、米国生まれの大型SUVならでは。いわば万能の性能を有するクルマが、かつての馬に代わって、人びとの生活を支える国で生まれ、愛用されているのは、いろいろな意味で「力」があるからだろう。
少し遠出をすると、ナビゲーターの使いやすさのとりこになる。疲労度の少ないゆったりした乗り心地、必要な時に必要なだけパワーが得られるエンジンや、広々とした室内は、乗員をリラックスさせてくれる。
ナビゲーターの良さは、キャラクターが確立されているところにある。人と人との出会い、あるいは人と犬や馬との出合いには、ある種のバイブレーションが重要だと米国人は言う。
おそらくナビゲーターにも、そんないいバイブレーションがある。旅に出て、それを感じれば、ずっとこのクルマに乗っていたくなる。それこそナビゲーターの魅力なのだ。
LINCOLN NAVIGATOR
ボディー:全長5290╳全幅2010╳全高1980㎜
エンジン:3.5ℓ V型6気筒DOHCツインターボ
最高出力:283kW(385ps)/ 5250rpm
最大トルク:624Nm(63.6kg-m)/ 2750rpm
駆動方式:AWD
トランスミッション:6速AT
価格:10,280,000円
●フォードお客様相談室 TEL0120-125175
●ATAMI せかいえ TEL0557-86-2000
※『Nile’s NILE』2015年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています