この曲線。この存在感。6・75リットルのロールス・ロイスV8エンジンを引き継いでいるミュルザンヌは、隅々まで贅を尽くした大型サルーンゆえ、ショーファードリブンカーのイメージが濃い。広い後部席でVIPは良質の革と本ほん杢もくに包まれ、映像や音楽のエンターテインメントに興じるも、デスクワークに没頭するも、リラックスして全身をリセットするも自在。その間に、車体はふんわりと目的地に滑り込む。
しかし同時に、ベントレーといえばかつてはル・マン24時間レースのタイトルを誇る、高級スポーツカーの血統である。
ル・マン名物の南北に延びた公道ロングストレートがミュルザンヌストレートと呼ばれ、その南端のところで直角に右折する難所がミュルザンヌコーナー。ここから名づけられたミュルザンヌには、オーナー自身がドライビングする魅力も尽きない。加速にもコーナリングにも、マッシブなボディーの想像を超える軽快感と安定感で、クルマを操る楽しさが広がるのだ。
さらにスポーティーなスタイルとリニアな走りを求めるなら、4ドアスーパーサルーンのフライングスパーであろう。ミュルザンヌと比べれば一回りコンパクトという表現になるものの実際には全長以外はさほど変わらず、コックピットも後部席も十分広い。
何よりもフライングスパーの引き締まったプロポーションは、ミュルザンヌとはまた別の次元で美しく、フルタイム4WDの走行性能も大きなアピールポイントだ。
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※『Nile’s NILE』2015年5月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています