2011年3月23日、銀幕の大女優エリザベス・テイラーが亡くなった。79歳だった。彼女は生涯に8回結婚し、晩年は独身を通した。ジュエリーをこよなく愛し、自叙伝『My Love Affair with Jewelry』まで出版したエリザベス・テイラー。その彼女の遺品が、クリスティーズのオークションに登場した。数々の遺品のうち、目を引くのはもちろんジュエリーだ。その一大コレクションのハイライトを、ここに紹介する。
出品されるジュエリーは、計269点。それぞれにいわくがあり、エリザベス・テイラーがとくに好んだカルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、ブシュロン、ジャン・シュランベルジェなどの貴重な作品も含まれる。ブルガリのジュエリーは、ローマとパリで開催されたブランドの回顧展に特別に貸し出されていたものだ。クリスティーズ・ロンドンの会長デヴィッド・リンリー(英マーガレット王女の子息)は「これだけのコレクションを身に着けて本当に似合うのは、エリザベス・テイラー本人か、私の伯母(エリザベス女王)だけだろう」と感嘆したという。
そう、エリザベス・テイラーは貸すことはあっても、決して借りることはしなかった。あるときウィンザー公爵夫人のブローチを彼女が褒めたところ、公爵夫人はその複製品を作るのを許したという。しかし彼女はそれをきっぱり断ったのだ。またレッドカーペットでも、ブランドからの貸し出しを断り、いつも自前のクチュールドレスと愛用のジュエリーで通した。
ジュエリーのセールは2011年12月13・14日にニューヨークで行われ、収益の一部は彼女の設立したエイズ基金に寄付された。慈善事業に熱心だった誇り高きエリザベス・テイラーの、最後のチャリティーだ。
●クリスティーズ ジャパン
TEL03-3571-0668
www.christies.com