疲れから回復したアマミキヨは歩みを進め、「ミントングスク」(グスクとは「城」の意味)に居を構える。そしてここが安住の地となり、子孫を繁栄させ、沖縄全体に彼らが広がっていった……というのがアマミキヨの伝説である。
これらアマミキヨゆかりの地は、今も聖地として大切にされているのみならず、訪れる人に癒やしを与えるパワーに満ちている。百名ビーチの真っ白い砂浜を歩けば、神話の時代から変わらない海が、見る人に特別な感覚を呼び起こさせる。
そして浜川御嶽につながる急な崖道は、うっそうと茂る林の中にある。深い自然の中でアマミキヨの歩いた道をたどる道程は、聖なる地に身を置く体験。神の気配を感じ取る、そんな気分にさせてくれる。
なお、アマミキヨはひときわ聖なる場を沖縄に7カ所造り、それは現在「琉球開闢(かいびゃく)七御嶽」と呼ばれている。そのうちの四つ[斎場御嶽(せーふぁーうたき)、薮薩御嶽(やぶさつうたき)、雨つづ天つぎ御嶽、クボー御嶽]は、久高島を含む南城市に位置する。このなかでも斎場御嶽は沖縄でも最高の格式とされる御嶽。本島南部の東側は、やはり聖なる足跡が色濃く残された地なのだ。
※『Nile’s NILE』2021年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています