“青流”が生む竜と滝 前編

細田守監督のアニメ『竜とそばかすの姫』の舞台は、高知県仁淀川。「仁淀ブルー」と呼ばれる美しくも神秘的な色で注目されるこの川は、アニメの描く現実と仮想現実の錯綜する摩訶不思議な世界を幻出させるのか。その世界に遊ぶショートトリップに出掛けた。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

細田守監督のアニメ『竜とそばかすの姫』の舞台は、高知県仁淀川。「仁淀ブルー」と呼ばれる美しくも神秘的な色で注目されるこの川は、アニメの描く現実と仮想現実の錯綜する摩訶不思議な世界を幻出させるのか。その世界に遊ぶショートトリップに出掛けた。

高知はええぞ!!
浅尾沈下橋の向こうは鎌井田集落。アニメ『竜とそばかすの姫』では、主人公すずが暮らす自然豊かな、でも過疎化の進む高知の村として描かれる。橋は生活道路として、ふつうに使われている。

今回の土佐紀行では「竜(龍)」の一字が重要な意味を持つ。
竜は旅のきっかけとなった細田守監督のアニメ『竜とそばかすの姫』に、仮想現実の世界で暴れ回る謎の存在として登場するし、「仁淀(によど)ブルー」を求めての散策は「氵」に「竜」と書く「滝」をめぐる“岩場歩き”。
さらに立ち寄った高知の二つの霊場が清瀧寺(きよたきじ)、青龍寺(しょうりゅうじ)と、その名に「龍」の字を含む。

もちろん渓谷と滝、お寺と竜の組み合わせはめずらしくも何ともない。インドから中国を経て日本に渡来した竜は、簡単に言ってしまえば、古代の人々の「水を神聖視する思い」が生んだ想像上の生き物。信仰の対象であり、仏教との関係も深いからだ。それでも、高知の中でも仁淀川流域が、「竜」を強く感じるポイントであることは確か。旅に神秘の趣を添えてくれる。

高知 目次

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。