マカオ半島の先端にあるポウサダ(ポルトガル風のホテル)のテラスを覆う菩提樹の下で、ポルトガル・ワインを飲みながら、南シナ海に沈む夕日を眺めた。金色にまったりと広がる海の彼方に島影が望めた。マカオが半島と2つの島から成っていた頃のことだ。
が、21世紀初頭に半島の南側が埋め立てられ、島を結ぶ3本の橋がかかり、2つの島は間を埋め立てたコタイが生まれた。半島をふさぐ大きさとなった島は、目を奪う大型IRが集まる不夜城となった。
巨大なカジノはもちろん、ホテル、レストラン、モール、シアターなどを備えたメガ・リゾートはそれぞれユニークなデザインと趣向を凝らし、大人も子供も楽しめるディズニーランドのような世界を築きあげた。そして、現在も開発が目白押しで続いている。
IRはコタイだけでなく、半島側にも幾つか開業し、近未来的なスカイラインを描いている。その基盤に地元の中国風の街並みがあり、ポルトガルが忘れていった佇まいが随所に残されている。そうした対象がなすゆえだろうか、街角で見かけるクラシックなモチーフのアズレージョ(ポルトガルのタイル画)は、ことのほか鮮やかに映る。