宮城県白石市・南蔵王の山麓に抱かれ、かつての湯治場の雰囲気が色濃く漂う鎌先温泉。里人が鎌の先で岩の隅を打ったところ温泉が湧き出たことから、その名がついたとされ、奥羽の薬湯として古くから親しまれてきた。なかでも約600年の歴史を持つ最古の老舗旅館が、時音の宿湯主一條だ。当主である一條家の先祖は京の公家の出という記録や家系図が古い巻物に残されており、藩政時代には、仙台藩から鎌先温泉の管理人として湯守という役職を与えられていた。釘を一本も使わずに建てられた木造3階建ての本館は、国の登録有形文化財に指定されている。そんな歴史と伝統を守りながら、時代とともに変化し続けてきた湯主一條が次世代への承継を目指し、この秋新たなホテルをオープンさせた。
宮城県蔵王の麓に静かにたたずむTHE YUKAWA 一條支店は、これまで培われてきた一條伝統の“おもてなしの心”と、新たな感性が織りなす、ラグジュアリーリゾートホテルだ。原点回帰をテーマに、ゲストが「心と体をリセットし、生きる活力を取り戻せる場所」として、新たな発見と感動の提供を目指す。
周辺を流れる湯川のせせらぎ、鳥のさえずり、風に揺れる木々、草花の香りに包まれたTHE YUKAWA 一條支店の玄関の扉には、かつて白石駅で駅前営業所として旅人をもてなしてきた一條支店の扉を再利用。その先には、自然と人が調和し共存する、心安らぐ空間が広がる。
全11の客室は、すべて森と湯川に面したテラスと露天風呂付きのスイート仕様。季節ごとに移ろう自然を全身に感じることができる。また、湯川のほとりには宿泊者専用の貸し切り露天風呂も完備。古くから人々の傷を癒やしてきた奥羽の薬湯を、源泉かけ流しで心ゆくまで堪能できるのはこの上ない贅沢だ。オイルマッサージやフェイシャルメニューなど、ゲストの悩みや希望に合わせた施術で体の芯までほぐしてくれるリラクセーションもおすすめしたい。
五感で楽しめる食の豊かさも魅力のひとつ。地元の宮城県を中心に全国から厳選した旬の食材を使って素材本来の魅力を引き出した目にも舌にもおいしい料理を、プライベートダイニングでゆっくりと楽しむことができる。ダイニングにはそれぞれの個室にテラスがついており、森を見渡す開放的な空間で、渓流を眺めながら食事をすることも可能だ。夕食の後は照明を落とした落ち着いた空間のバーへ。熟練のバーテンダーが、ワインやウイスキーから、果実酒、クラフトリキュールまで、多彩な銘柄の中からゲストの好みや気分に合わせた極上の一杯を提供してくれる。
秋は蔵王の山々が紅葉の錦に彩られ、冬はまるで絵画のような銀白の静寂に包まれるこれからの季節。心地よい空間に身をゆだね、忘れていた本来の自分を取り戻す旅に出かけてみてはいかがだろう。
●THE YUKAWA一條支店
宮城県白石市福岡蔵本鎌先一番
Tel.0224-26-6722

