那覇空港から車でわずか10分という抜群のアクセスを誇る沖縄ハーバービューホテル。沖縄のアメリカ統治時代には、前身である在沖アメリカ人による会員制クラブ「ハーバービュークラブ」があった閑静な丘の上に立ち、名称は当時、近くに流れていた川を一望できる立地から名付けられたという。
ハーバービュークラブは、米軍関係者や日本・米国・琉球の各界要人が集う、当時の社交界の象徴的なサロンであった。そして、沖縄の本土復帰を記念して1975(昭和50)年に開催された沖縄国際海洋博覧会をきっかけに、旧クラブ跡地に建設されたのが、沖縄の新しい迎賓館、沖縄ハーバービューホテルだ。
オープン後は皇室や政財界など、沖縄を訪れた要人たちがこぞって滞在した。重要なイベントでは必ずといっていいほど会場として選ばれたため、沖縄県民にとっては、今も昔も県随一の格式を持つシンボルである。
沖縄が観光地として注目され、外資系の一流ホテルが続々とオープンしても、伝統的に沖縄ハーバービューホテルを定宿とする要人が少なくない。長く多くの要人をもてなしてきた歴史と実績が、安心につながっているということもあるだろう。ただ、ホテルの選択肢の幅が広がったことで、県外には若い世代を中心にハーバービューホテルを知らない人も増えた。
そこで開業50周年を機に、沖縄ハーバービューホテルは大規模リニューアルを果たす。
グランドオープンは2026年春。目玉となるのは、先だって10月にオープンした、那覇市内最大級を誇る最上階のクラブラウンジだ。ドリンク類だけでなく、朝食からティータイム、ディナータイム、ナイトキャップと、時間帯ごとにさまざまな料理を提供。街の喧騒から離れ、思うままに過ごしながら、ゆったりと心豊かな滞在を満喫することができる。
沖縄ハーバービューホテルの魅力の一つは、料理長が島内の生産者を回って仕入れた、沖縄食材をふんだんに使った料理だ。今回のリニューアル後も、開業から長年親しまれてきた伝統の「ビーフストロガノフ」や「スーチカー(豚の三枚肉)と県産きのこのペペロンチーニ」など、ここでしか味わえない逸品が供される。
ディナータイムには海ぶどうや沖縄そば、豚しゃぶなど沖縄ならではのラインアップを、那覇市内の夜景を眺めながら堪能。栄養豊富で多彩なメニューが楽しめる朝食も含め、沖縄ハーバービューホテルでは、沖縄料理を食べ慣れない人にも心からの驚きと喜びを呼び起こす料理の数々が味わえる。「食を目的に宿泊している」という、長年のファンが多いことにもうなずける。
客室は沖縄の伝統工芸「琉球藍染」を思わせる藍色のカーペットが印象的な、クラシカルモダンな空間に一新。屋外には温水プールも完成する予定だ。温水プールの周囲には、玄関前で堂々と枝を広げる樹齢200年のガジュマルの木と同様、開業当初からの南国の木々や花々が茂り、沖縄県の蝶「オオゴマダラ」がヒラヒラと舞う、沖縄らしい風景を楽しむことができる。
外観は沖縄の「土」を表現したオーカーレッド色を再現。保存状態が良く、BELCA賞ロングライフ部門で表彰されたこともある重厚な建築は残しつつ、ビジネスだけでなく観光の拠点として国内外のゲストがくつろげる設備を充実させている。
今回のリニューアルを率いる総支配人の森山真也氏は「コンセプトは『Be Reborn』です。開業以来、半世紀にわたって紡いできた歴史と伝統を受け継ぎ、新たな50年に向けて沖縄ハーバービューホテルは生まれ変わります。そのために、他のホテルには追随できない沖縄に根付いた伝統と格式を大切にしながらも、次世代のお客様にも、沖縄といえばハーバービューホテルと感じていただけるような空間とサービスを提供します」と抱負を語る。
「とくに重視しているのは、ホスピタリティーです。開業から50年、国内外の要人の方たちをおもてなししてきた当ホテルの誇りをかけて、より多くの方にご満足いただきたいと思っています」
ラウンジ&バーやクラブラウンジでは、泡盛のほか、沖縄産のジンを使ったカクテルなども幅広くそろえている。沖縄の歴史に思いをはせながら、静かで心地良い宵を過ごしてみてはいかがだろう。
●沖縄ハーバービューホテル
沖縄県那覇市泉崎2-46
TEL:098-853-2111(代表)

