SDGsが掲げられ、さまざまな製品においてリサイクル率が向上している近年。一方で寝具のリサイクル率は非常に低く、ほとんどの製品が廃棄処分されていることをご存じだろうか。
寝具は多様な素材で構成され、分別が難しい上、回収や再生を促進するための法規制もまだ整備されていない。このような中、エアウィーヴは約17年前からリユース、リサイクル可能なマットレスの開発を進めている。
同社の創業は2004年。漁網や釣り糸の製造技術を基に「エアファイバー®」の開発を始めた。2007年には“本質を追求する”という理念のもと、睡眠科学に基づくマットレスパッドを発売し、これまでにない画期的なマットレスパッドとして話題を集めた。
エアファイバー®は、極細ポリエチレン繊維を三次元に絡ませた素材で、体圧を均等に分散させることで腰や肩などにかかる負担を軽減可能。また復元性が高いことから寝返りが打ちやすく、快適な睡眠をサポートする。この素材は通気性が高く、水洗い可能で、常に清潔に保てる特性を有している。
加えて、環境への配慮と、寝具廃棄問題の解決は、創業当時からの同社の重要な取り組みである。全製品をリユース、リサイクル可能にすることで、持続可能な製品開発を実現している。特に、東京2020オリンピック・パラリンピックでの選手村に約1万8000床の寝具を提供後、リユースして全国各地の自治体や教育機関などへ寄贈した実績を持つ。
22年からは回収したマットレスをリサイクルして再び製品化する「水平リサイクル」もスタートした。日本航空の国際線ビジネスクラスで採用されていた製品は、機内のリニューアル時にすべて自社で回収したうえで、再び製品化して提供している。
さらに、長きにわたって研究開発を重ねてきた「生分解性エアファイバー®」を発表し、製品廃棄時の環境負荷を軽減。この取り組みは、パリ2024オリンピック・パラリンピックでのオフィシャル寝具サポーターとして採用されることに。マットレスを三つのパーツに分割し、表裏で硬さが異なるよう構成。パーツを組み替えることで、選手に合わせて自由にカスタマイズ可能な「個別仕様化マットレス」を約1万6000床提供予定だ。これらの寝具はリサイクル可能な素材を使用し、大会後はフランス国内の公共性の高い団体や教育機関などに寄贈する予定だ。
未来を見据えたものづくりで、寝具業界に一石を投じてきたエアウィーヴ。「パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会」をきっかけにますます注目が集まるなか、今後のさらなる躍進に期待したい。
●エアウィーヴ
TEL 0120-824-811
airweave.co.jp
※『Nile’s NILE』2024年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています