銀座でのレストラン事業から始まり、食とホスピタリティーを根幹に、人から人への生活サービスを展開するリエイ。企業の福利厚生施設や学生寮の運営も行う同社が介護事業を始めたのは、「当社の持てるノウハウや理念をそのまま生かせると考えたから」と代表取締役社長兼会長の椛澤一氏は話す。「介護を高齢者への生活サービスと捉え、“介護から快護へ”をコンセプトに、癒やしあふれる快適な暮らしの提供を第一に考えています。なかでも毎日の楽しみの一つである“食”は一番の強みだと自負しています」 年間1300万食を提供し、介護事業を手掛ける会社としてはトップクラス。介護食を始め、企業や学校などの給食、パーティーのケータリングまで幅広く展開している。
早くからアジアにも目を向けた同社は、2003年にはタイに現地法人を設立し、アジアの介護事業展開の第一歩を標した。アジアの癒やしを知る機会を得て、「ロイヤルセラピー」という独自のリラクゼーションサービスを開発している。タイ保健省直轄機関から普及権利を取得し、高齢者向けにアレンジしたフットケアやハンドケアはその一つ。入居者に安心感を与え、癒やしと上質なくつろぎの時間を提供している。
タイでの実践をきっかけとし、2011年には独資で現地法人を設立し、中国に進出を果たす。
「高齢化問題が深刻である中国はいかようにも絵を描ける真っ白なキャンバスと考え、中国での事業展開を決めました」
そこで最初に手掛けたのは北京市内に日本の介護のショールームを作り、日本介護のマーケティング&サービスをモニタリングすること。2013年より5カ年計画で上海・成都・南通の3都市でモデル施設を設置し、“礼愛”ブランドで事業展開。その実践力が高い評価を得て、現在は全土展開のセットアップ中である。
「中国企業との連携が日本企業との連携を呼び寄せ、新たな事業展開にまで発展しています。当社は介護を始めとした生活サービスで信頼を得ていますが、日本には介護以外にも高品質なものがあります。そうした企業の架け橋になって、連携促進に努めていきたいと考えています」
中国での展開を加速しているリエイは、日本の先進的な介護を具現化するための施設もオープンさせている。「コンシェール舞浜」に続く、アジア展開モデル第2弾は、今年5月オープンした「コンシェール徳丸」だ。新元号の幕開けにふさわしい施設である。
全居室でIoTによる健康管理を標準装備し、見守りカメラやベッドマットセンサーなどで入居者の状態を把握。また、介護予防プログラム「モフトレ」を採用し、ウェアラブルIoTで運動の成果を実感できるようにした。先進技術を導入した健康管理はこれからの時代の介護サービスを予感させる。創業以来大切にしてきたぬくもりあふれるサービスとともに、ハイグレードな介護施設を形成している。
●リエイ TEL047-700-7111
※『Nile’s NILE』2019年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています