
寝転がると柔らかな感触が心地よく、眠りに落ちそうだ。大阪・関西万博の象徴「大屋根リング」の上部。周囲2キロのうち東側の約180メートルに芝生が張られ、来場者が思い思いに過ごしている。地上から約20メートル。眼前に空と海が広がり、さながら天上界だ。
リングの柵越しに<下界>をのぞき込んだ。大勢の来場者がお目当てのパビリオンを目指し、我先にと急いでいる。リングの階段を上がっただけで、時間の流れがまるで違う。
夫婦で芝生に腰を下ろしていた堺市の男性(55)は「初めはいろんなパビリオンを回りたいと焦っていたが、歩き疲れて芝生で30分ほど休んだら気持ちが落ち着いた。ここは特等席」とほほえんだ。
のんびり万博――それもいい。(中原正純)