「1年で500万円の“投げ銭”をした」30歳男性が借金してまで「女性ライバー」にハマってしまったワケ その背景に”闇落ち”させる投げ銭の仕組みがあった

2025年3月11日、ライブ配信を行っていた女性配信者(ライバー)が視聴者の男性に刺殺されるという事件が発生しました。この事件の背景には、男性が女性に多額の金銭を貸していたことに伴うトラブルがあったとされています。この事件をきっかけに、ライブ配信や「投げ銭」の仕組み、それにのめり込む人々の問題について解説します。

1. **ライブ配信と「投げ銭」の仕組み
ライブ配信はPCやスマートフォンを使ってリアルタイムで動画を配信できるサービスです。視聴者はコメントやアイテム(無料・有料)を送ることで配信者とコミュニケーションを取ることができます。有料アイテムの購入は、アプリ内課金やクレジットカード、電子マネーなどが利用されます。有料アイテムを送ることで配信者の注目を集めたり、コメントが優先的に表示されたりするため、視聴者の承認欲求が満たされやすくなっています。また、配信者はアイテムの売上や視聴回数、コメント数などに応じた報酬を受け取りますが、その報酬システムの詳細は公開されていません。

2. **ライブ配信利用者の実態
2018年に消費者庁が行った調査によると、ライブ配信の視聴経験や配信経験は若年層に多く、特に15歳から19歳の視聴率は69.4%、配信率は35.7%に達しています。コメント投稿や無料アイテム提供も若年層ほど高く、有料アイテムの提供経験率も15歳から19歳で13.7%と他の年代より高い結果となっています。1回の配信で贈った最高額は「1000円以下」が57.9%で最も多いですが、「10万円以上」は2.6%存在しており、課金額が高額になるケースもあります。

3. **依存症やトラブルの実例
筆者が勤務する医療機関で治療した30歳手前の男性(Aさん)のケースを紹介します。Aさんは成績優秀でしたが対人関係が苦手で、社会人になってからも友人が少なく孤立していました。28歳ごろから特定の女性配信者にのめり込み、1年間で500万円以上を投げ銭に費やすようになりました。資金不足から借金や親の金を盗むなどの問題が生じ、治療を受けることになりました。Aさんは配信者への恋愛感情を抱いており、「自分たちは本気で愛し合っている」と確信していました。心理検査の結果、自閉症スペクトラム障害(ASD)の傾向が認められましたが、その後も行動は変わらず、通院も途絶えてしまいました。

4. **ライブ配信にのめり込む理由
ライブ配信への依存には以下のような背景があります。

– 未成年者でも容易に利用可能
規制が不十分であり、未成年者でも親の承認を得ずに課金できてしまうケースがあります。親のクレジットカードを無断使用する事例もあります。

– 恋愛感情の影響
特に成人男性が女性配信者に恋愛感情を抱くことで高額の課金が生じるケースが目立ちます。いわば「バーチャルキャバクラ」「バーチャルホスト」のような関係になっています。

発達障害などの特性
現実世界での対人関係に困難を抱える人や、発達障害の傾向がある人がライブ配信に依存しやすい傾向があります。

社会的孤立の解消
現実社会で孤立している人にとって、ライブ配信は「癒やしの場所」となることがあります。

5. 課題と今後の対応
ライブ配信には未成年者の課金や依存、犯罪につながるリスクがあります。未成年者への利用制限や配信事業者による課金上限の設定、視聴者が冷静に行動できるような啓発が必要です。また、恋愛感情や孤独感を背景にした過度な依存に対しては、心理カウンセリングや専門的な治療体制の強化が求められます。



ライブ配信は視聴者と配信者がリアルタイムでつながれる魅力がある一方で、未成年者への悪影響や依存症、金銭トラブルなどの問題が存在します。事業者側の規制強化や視聴者の自己管理意識の向上が必要であり、依存症に陥った場合の適切な治療や支援体制の整備も重要です。

情報源:東洋経済
https://toyokeizai.net/articles/-/865385

ラグジュアリーとは何か?

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